ウクライナに対するロシアの軍事侵攻を受け、ロシアが政治的・経済的制裁や、スポーツやその他の国際的イベントへの参加禁止などの制限を課されている。そんななか、ウクライナのアーティストや文化活動家が、ロシアへの文化的制裁を求める請願書を公開している。
ウクライナ文化・情報政策大臣オレクサンドル・トゥカチェンコや国家芸術・芸術教育庁長官ガリーナ・グリゴレンコ、第59回ヴェネチア・ビエンナーレのウクライナ代表パブロ・マコフなどが発起したこの請願書では、「ロシアは事実上全体主義国家であり、国家宣伝の道具箱から選んだ文化の道具を使うことがあまりに多い」とし、国際文化界に次のことを要求している。
1. ロシアの資金で実施されるプロジェクトを含め、ロシア連邦に関わるすべてのプロジェクトを中止する。
2. パートナー国にあるすべてのロシア文化センターの運営を停止する。
3. ロシア人を監督委員会および文化パートナーシップから排除し、スポンサーシップを取り消し、組織的な支援を撤回する。
4. ロシア人の国際コンクールへの出場(例:ユーロビジョン禁止)、および以下のような国際展示会、フォーラム、その他の文化イベントへの参加を禁止する。
a) ヴェネチア・ビエンナーレ、アート・バーゼル、ドクメンタなどの現代美術展および見本市。
b) カンヌ映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭などの著名な映画祭。
c) ザルツブルク音楽祭、アヴィニョン音楽祭、アレーナ・ディ・ヴェローナ音楽祭などの音楽祭、演劇祭。
d) フランクフルト・ブックフェア、ロンドン・ブックフェアなどの国際的なブックフェア。
5. メディアでロシア文化を取り上げるのをやめる。
6. ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ミラノ・スカラ座、ロンドン・ロイヤル・オペラハウス、その他多くの劇団が既に例示しているように、ロシアのプーチン大統領と彼の行動を公然と支持するすべてのアーティストやエンターテイナーとの提携を解消する。
3月2日現在は、およそ2000人が請願書に署名。なかには、ウクライナの文化・芸術機関の責任者や映画監督、俳優、ギャラリスト、アーティスト、キュレーター、ミュージシャン、作家、作曲家などが含まれている。
発起人たちはこの請願書で、「ロシアの文化は、プロパガンダとして使われると、有害です。共犯者にならないように!」と強く訴えつつ、「私たちは、文化は政治的プロパガンダに従属するものではなく、批判的思考を養い、対話を促進するために活用されるべきものであると強く信じています」と述べている。
またウクライナ国内のみならず、スペインのソフィア王妃芸術センターやベルギーのアントワープ現代美術館、アイルランドのアート & デザイン国立大学などの美術機関・大学による研究・議論のための「国際連盟(L'Internationale Confederation)」もアートコミュニティに対して請願書を公開しており、ウクライナへの連帯を示すための署名を求めている。