森美術館に託児所を。Chim↑Pomが「くらいんぐみゅーじあむ」のためのクラファンを開始

Chim↑Pomが今年開催予定の森美術館での個展「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」にて、会場内に託児所を開設するプロジェクト「くらいんぐみゅーじあむ」を発表。クラウドファンディングを開始した。

「くらいんぐミュージアム」のイメージ

 今年2月18より森美術館で開催される「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」(〜5月29日)。この展覧会の会場内に託児所を開設するプロジェクト「くらいんぐみゅーじあむ」が発表され、実現のためのクラウドファンディングの募集が始まった。

 「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」は、来年で結成17周年を迎えるアーティスト・コレクティブ「Chim↑Pom」の、初期から近年までの代表作に新作を加えて一堂に紹介する初の本格的回顧展。都市と公共性、広島、東日本大震災などのテーマに則して展示が構成され、その活動の全貌を検証するものとなる。

Chim↑Pom 撮影=山口聖巴

 「くらいんぐみゅーじあむ」は本展覧会の会場内に託児所を開設し、子育て中の人々が気軽に美術館を訪れ、アートを鑑賞することができることを目指すプロジェクト。子供の居場所をクリエイティブにつくりだし、子育てに優しい環境づくりへの課題を考える契機になることも目的としている。

 プロジェクトの実施に向けて、クラウドファンディングも開始。資金のおもな使い道は託児業務委託費のほか、リターン関係費用(ぬり絵セット制作費、イベント運営費、郵送料など)、クラウドファンディング手数料、施設管理・運営費用など。支援金額は400万円の達成により約3日/週の託児所営業が可能に、800万円の達成により約6日/週の託児所営業が可能になるという。

 リターンはChim↑Pomが描いたオリジナルぬり絵(ダウンロード用リンクをメール送信)。この塗り絵に自由な発想で彩色した作品を募集し、Chim↑Pomのほか、特別審査員の会田誠、河村康輔、東村アキコによって受賞者が選ばれるぬり絵コンテストも開催する。クラウドファンディングの支援は1口あたり1回の応募が可能で、各賞の受賞者には「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」招待券2名分をプレゼント。また、受賞作品を「くらいんぐみゅーじあむ」にて展示する。

ぬり絵着彩イメージ *送付されるぬり絵はモノクロの線画

 本プロジェクトについて、Chim↑Pomのメンバーであり、子育てをする親でもあるエリイは次のようにコメントを寄せている。「『くらいんぐみゅーじあむ』は美術館の泣き声。泣いたってかまいやしないよ、だって子どもだもの。鑑賞者はこの声を聴くことになるでしょう。すべからくこの世の関係者、誰もが全員、初めは赤ん坊だったし子どもだった。あなたも、私も、虫も木も」。

 また、今回のクラウドファンディングについて、森美術館は次のようにステートメントを出している。「日本では少子化対策が進んでいるものの、改善できることはまだ多くあることから、ニーズが多様化する中で美術館としてできることに挑戦したいと考えています。この託児所をより多くのお客様にご利用頂くために、また社会全体における子育て環境への問題意識の喚起のために、プロジェクトをみなさまと一緒に育てていきたいと思います。みなさまのご支援をお願いいたします」。

 託児所を用意している国内の美術館・博物館は、東京国立博物館(休止中)や国立新美術館、東京都美術館などに限られており、いずれも日時を限定した開設となっている。恒常的に託児所を開設している館としては金沢21世紀美術館があるが、希少な例だ。今回のクラウドファンディングが約6日/週の託児所開設を目指しているのも、こうした美術館併設の託児所の状況を鑑みたものといえる。

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