吉村益信をリーダーに1960年に東京で結成され、篠原有司男、赤瀬川原平、荒川修作らが参加した前衛芸術グループ「ネオダダイズム・オルガナイザーズ(ネオ・ダダ)」。その活動拠点であった「新宿ホワイトハウス」が、新たなアートスペース「White House」として4月に始動する。
新宿ホワイトハウスの建物は、いまや日本を代表する建築家・磯崎新の処女作であり、かつては吉村の自宅だった。紆余曲折を経て現在はChim↑Pomのメンバーである卯城竜太の住居として使われており、White Houseはこの卯城とアーティストの涌井智仁、ナオ ナカムラの中村奈央によって運営される。
White Houseでは展覧会やイベントが開催されるが、特徴的なのは「パスポート」システムだ。このパスポートは300部限定で、1万5000円と3万円の2種類。2種類で共通する特典は、すべての展覧会・イベントへの参加やLINEオープンチャットへの参加、新宿ホワイトハウスに残されていたネオ・ダダの作品鑑賞、特別料金でのWhite Houseの宿泊など。これに加え、3万円のパスポートは展覧会ごとに参加作家によってパスポートがエディットされていく特典が付く。
同スペースで開催される展覧会やイベントの多くはこのパスポートを保有する会員限定となり、「会員との濃厚な情報交換と当事者意識の共有によって、鑑賞者とWhite Houseを育むことを試みる」(プレスリリース)という。
なおオープンに先駆け、ネオ・ダダの中核を担った篠原有司男と、新宿ホワイトハウスの目撃者であった田名網敬一による、ホワイトハウスにまつわるオンライントークを開催(配信期間:3月19日~3月31日)。その後、こけら落としとして4月10日からuraunyの個展「urauny dinner」を開催。アートの他にも映画や音楽、ファッション、クラフトビールなどに携わる若手が参加し、「総合芸術の場としてコンテンツを構成する」という。
あえて「オープンにしない」ことを選んだこのスペースで何が起こるのか、今後の動向に注目だ。