新型コロナウイルスの合併症によって昨年逝去したファッションデザイナー兼ファッションブランド「KENZO」の創業者、高田賢三。その足跡を追い、素顔に迫る世界初の長編ドキュメンタリー映画『# KENZO TAKADA』が2021年内に完成し、公開されることが発表された。
高田は1939年兵庫県姫路市生まれ。東京の文化服装学院を卒業後、パリで華々しい成功を収め、イブ・サンローランや様々な文化人と交流を重ねていた。日本の安価な木綿生地を取り入れたゆとりのあるフォルムのコレクションを発表することで「木綿の詩人」と呼ばれるようになり、そのカラフルな色使いは「色彩の魔術師」と世界中から高く評価。また、フランス政府より芸術文化勲章最高位や紫綬褒章など数々の賞も受勲している。
本作は株式会社THE U.D.S.と合同会社TRIPODが製作したもので、監督は中山章太郎。2018年から2年以上にわたって高田を密着して撮影してきたこの映画では、高田が80歳になった自分と向き合うための自画像制作に注目しつつ、ファッションや彼のライフスタイルを通して、世界中に「自由」と「色彩」と「文化の多様性」を与えた、半世紀以上に渡るクリエイションと葛藤を振り返る。
なお高田の母校である文化服装学院内にある文化学園服飾博物館では、その回顧展「Dreams -to be continued- 高田賢三回顧展」が6月27日まで開催中。高田がパリをにぎわせた1970年代〜80年代のコレクションアーカイブやファッション資料に加え、同学園で所蔵する貴重な写真や、1961年に学生時代に受賞した第8回装苑賞の作品などを通じ、ファッションデザイナーとしての功績を掘り下げて紹介している。