「ケンゾー(KENZO)」の創業者兼ファッションデザイナーであり、新型コロナウイルスの合併症によって昨年逝去した高田賢三。その家具、絵画、オブジェを含む約600点のコレクションが、5月11日にパリのオークションハウス「Artcurial」で競売にかけられる。
高田が晩年を過ごしたパリ左岸の中心部にあるオスマン様式のアパートには、アジア、プレコロンビア、トライバルの美術品や写真、クリスタルのシャンデリア、アールデコ調の家具、高田賢三のデザインした家具などが集まっていた。そのコレクションは、東洋と西洋の影響を融合させ、高田の創造的で自由な精神を反映している。
オークションのハイライトは、漢時代の檜の木馬像(予想落札価格は約256万円〜384万円)や3世紀の仏像(同約128万円〜192万円)、エミール・ジャックス・リュールマンによるプレイエルのグランドピアノ(同約51万円〜77万円)、クリスタルのシャンデリア(同約51万円〜77万円)、ウィリアム・エグルストンによる13枚の写真シリーズ(同約256万円〜512万円)など。
また、高田の絵画作品《Masques Nô》(予想落札価格は約19万円〜32万円)、《Personnage en tenue de dignitaire japonais》(同約26万円〜38万円)に加え、自身が制作したガラス器、磁器や、日本の石器、ムラーノガラス器、エンブレムを刻印したバカラのクリスタルグラスなど約60点の食器類も出品される。
パリで行われるセールと同時に、高田の個人コレクションから100点以上の作品が集まるオンラインオークションも開催。予想落札価格が100ユーロ〜1000ユーロ(約1.3万円〜13万円)と推定される衣装に数々が出品される。
Artcurialのオークショニア兼アソシエイトディレクターであるステファン・オーベールは声明文で、今回のセールについて次のようにコメントしている。「ケンゾーのコレクションは、ファッションとインテリアの世界におけるこの天才の目を私たちに明らかにする。クチュールと同様に、彼は人生の最後の15年間を過ごしたパリのアパートで、異文化を融合させることを心得ていた。今回の売却は、この多才なアーティストへの最後のオマージュとなるだろう」。