2020.6.30

ポーラ美術館の新VIを長嶋りかこが担当。多様な変化と揺るがないアイデンティティを表現

神奈川県・箱根のポーラ美術館が、より新たなことに挑戦し続ける美術館でありたいという思いからヴィジュアル・アイデンティティ(VI)を刷新。新たなVIは、自然環境と文化/福祉への貢献を目的に多彩なデザインを行う長嶋りかこが手がけた。

長嶋りかこによるポーラ美術館の新たなロゴマーク
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 2002年の開館以来、「世界に発信する」という願いを込めたロゴマークを使用してきた神奈川県・箱根のポーラ美術館。今回、より新たなことに挑戦し続ける美術館でありたいという思いからヴィジュアル・アイデンティティ(VI)を刷新。新たなVIは、自然環境と文化/福祉への貢献を目的に多彩なデザインを行う長嶋りかこが手がけた。

 刷新したロゴは、「塗り」のロゴと「線」のロゴを、状況や使途に応じて、左右対称または上下反対に配置するもの。相対するものを起点に様々なものが響きあい、変化していく様子と広がりを表現したデザインだという。ここに、同館が様々に変化しながらも揺るぎないアイデンティティを持つ姿勢が示される。

ポーラ美術館
ショッピングバッグ

 このVI刷新を機に、ミュージアムショップのショッピングバッグもリニューアル。国際的な森林認証の「FSC認証」を受けた素材を採用し、また環境対応型の包材にリニューアルするとともに有料化も実施するとのこと(一部無料あり)。「箱根の自然と美術の共生」をコンセプトとする同館は、開館以来、敷地内の森林の林相転換や生態系に配慮した美術品の保存管理を行うなど、環境保全の活動を続けてきた。今回のリニューアルによって、環境への配慮をより充実させていくという。

 長嶋は、今回のVI刷新についてこうコメントしている。

 ポーラ美術館のVIのリニューアルを考えるにあたり、ロゴタイプに始まり、様々な媒体への展開において、すでに有る資源を活かすという姿勢をとっています。ロゴタイプは、もともと旧日本語ロゴとともに小さく併用されていた英字のロゴタイプを抽出し、それを”線”と”塗り”のロゴタイプをセットにして、異なる双方の共鳴の意を込め左右対称または上下反対に配置しています。  これは近代と現代、自然と人工など、様々な異なる双方を提示することで私たちに問いを投げかけるポーラ美術館のあり方を表しています。ロゴタイプは媒体に応じてその位置や大きさは変化できる設計にしたため、配置によっては大きな空間を持たせ、そのなかに伝達したい情報を組み込む機能も兼ねています。  様々に展開される紙媒体においては、森の持続可能性を考えFSC認証紙を使用し、インクは石油系有機溶剤を含まず環境配慮に進んだノンVOCインクを使用し、紙袋などの消耗材の有料化など、資源を活かし自然を守るためにできることを提案し、森と人とが調和するこの美術館での体験が、どんな媒体においても伝達できることを目指しています。

 新たなVIは、現在開催中の「モネとマティス もうひとつの楽園」展(〜11月3日)の会期中にも順次導入されていく。