原始的な肉体に回帰する。遠藤一郎が「ほふく前進御百度参り」をYouTubeで公開

未来美術家として独自の活動を展開する遠藤一郎。現在、遠藤による「ほふく前進御百度参り」プロジェクトが、YouTube上で公開されている。本プロジェクトは、武蔵一宮氷川神社の参道を這いつくばりながら踏破しようという試みだ。

「ほふく前進御百度参り」より

 「未来美術家」と自らを名乗り、独自の作品を発表し続ける遠藤一郎。車体に大きく「未来へ」と描かれた《未来へ号》で車上生活をしながら全国各地を走り、土地土地で出会った人々によって、車体の文字の周りにそれぞれの夢が記されていく作品など、パフォーマンスを軸とした様々な活動を見せている。

 同作のほか、「別府現代芸術フェスティバル2009 混浴温泉世界」や「愛と平和と未来のために」(水戸芸術館)、「六本木アートナイト2012」(六本木ヒルズアリーナ)など、数々の芸術祭やアートイベントに参加し、展示やパフォーマンスを行ってきた。

 一貫して「GO FOR FUTURE」をキーワードに掲げる遠藤は、近年はほふく前進に取り組んでいる。遠藤が美学校で講師を務める「未来美術専門学校アート科」の受講生26人と、ゲスト作家の会田誠、田中偉一郎による合同展「未来美展3」(2019)では、ほふく前進のプロジェクトを映像で展示。美術評論家の福住廉は、同展のレビューのなかで「腹部を地面にこすりつけながら愚直に水平移動を実践する遠藤は、人間に似て非なる原始的な肉体にあえて回帰しようとしているのかもしれない」と論じている。

 現在、遠藤のYouTubeチャンネルで公開されている「ほふく前進御百度参り」プロジェクトは、武蔵一宮氷川神社の参道を這いつくばりながら踏破しようという試みだ。20年2月よりスタートした同プロジェクトは、現時点で57回目。今年の5月17日に最終回を迎える(予定)。

 遠藤は「ズルズルズルズルが自分の闘い方です。あれもこれも無し無しですがほふく前進はできるところまでやります」と語っている。新型コロナウイルスが蔓延するなか、遠藤の試みはまた新たな意味を持つようだ。

 

編集部

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