アジアのアートハブとも称される香港。昨年6月から一連の反政府デモが続いており、今年は新型コロナウイルスの影響で、3月の「香港アートマンス」期間中に開催を予定されていたアートフェア「アート・バーゼル香港2020」や「アート・セントラル」が相次ぎ中止され、博物館・美術館も閉館。地元のアートシーンには大きな打撃を与えた。
こうした状況下、香港アートシーンに活気を取り戻すため、地元の有志が新しいオンラインプラットフォーム「ART Power HK」をスタートさせた。
本プラットフォームは、香港のアート界に関わるすべての関係者をパートナーとして招待し、それらのパートナーが市内各地で開催する展覧会やイベントなどをオンラインで体験する機会を提供するもの。
現在、アクセル・フェルフォールドやレビー・ゴルビー、ホワイトキューブなどのギャラリーや、M+や大館、CHATなどの博物館やアートセンター、そしてオークション・ハウス、非営利団体、教育機関、アートやカルチャーのメディアなど、68の機関が参加。また、アジア協会香港センターは主催パートナーになっている。
このプラットフォームについて、アジア協会香港センターのディレクター、S・アリス・モンはこう強調する。「私たちは、アートがつながり合うものだと信じている。ART Power HKの試みを支援するため、アート界のあらゆる機関のパートナーが参加してくれたことは、香港のアートの力や『やればできる』という姿勢を証明している」。
またM+のディレクターであるスハニヤ・ラフェルは、「ART Power HKは、香港のアート界の集合的なエネルギーをもたらし、すべての芸術団体の中心となる力強さを示している」とコメント。
政治や感染症をきっかけに、展覧会やオークションをオンラインで届けようとする香港のアート界の試みは、アートハブの結束をさらに高めるだろうか。