直木賞作家・白石一文が男女の不確実な愛を描いた小説『火口のふたり』が主演に柄本佑と瀧内公美、脚本家に荒井晴彦を迎えてこのたび映画化、8月23日より全国公開される。そして映画公開に合わせ、写真家・野村佐紀子による写真展「火口のふたり」も新宿のBギャラリーで開催される。
野村は1967年山口県生まれ。九州産業大学芸術学部写真学科卒業。主に男性のヌード写真を手がけ、緊張感と親密さが混在する、室内空間での姿をとらえてきた。
本展では、映画制作中に撮影した作品をはじめ、 これまでに撮りためてきた膨大な数の写真の中から厳選した新作を含む作品を展示。欲望のままに生き、一糸纏わぬ姿をあらわにする『火口のふたり』の主人公を大胆に映し出した写真は、物語のキーアイテムとしても映画にも登場する。
また、映画や写真展とあわせてフォトストーリーブックにも注目したい。原作者の白石が特別に書き下ろした主人公ふたりの前日譚と、野村による本編未使用カットを含む写真で構成された本著は、森山大道、佐内正史、奥山由之など数多くの写真集を手がけてきた造本家の町口覚が造本設計を担当。文学と写真が融合した、もうひとつの「火口のふたり」が表現されている。