2019.5.14

「もの派」を代表する作家・関根伸夫が76歳で逝去

「もの派」を代表する作家であり、日本のみならず世界的にも高い評価を受けてきた関根伸夫が、5月13日にロサンゼルスで逝去した。享年76歳。

関根伸夫 提供=ときの忘れもの
前へ
次へ

「もの派」を代表するアーティスト・関根伸夫が5月13日に逝去した。

 関根の作品を取り扱うギャラリー・ときの忘れものによると、関根はロサンゼルス郊外のトーランス市の病院にて療養中だったというが、心不全から肺炎を併発。13日9時20分(現地時間)に亡くなったという。

 関根は1942年埼玉県生まれ。多摩美術大学で斎藤義重(1904〜2001)に師事し、68年に同大大学院油画研究科を修了した。同年に第1回が開催された「神戸須磨離宮公園現代彫刻展」に《位相ー大地》を出品し、同作を李禹煥が評価したことで、「もの派」が始まった。

『美術手帖』1970年2月号には李禹煥に加えて、関根伸夫、菅木志雄らが参加した座談会「〈もの〉がひらく新しい世界」が掲載された

 その後、69年4月には東京画廊での初個展を開催し、《位相ー油土》を出品。翌70年にはヴェネチア・ビエンナーレに荒川修作とともに参加し、《空相》を発表。これがヨーロッパでの評価へとつながっていく。

 2012年にはアメリカ・ロサンゼルスのBlum & Poeで「太陽へのレクイエム:もの派の美術」に参加。また同11月のニューヨーク近代美術館「Tokyo 1955–1970: A New Avant-Garde」にも出品し、再評価の機運が高まった。

 現在、関根の作品は原美術館、世田谷美術館、豊田市美術館、広島市現代美術館、国立国際美術館をはじめ、様々な美術館に収蔵されている。