関根伸夫は1942年埼玉県生まれの美術家。68年に多摩美術大学大学院油画研究科を修了し、同年、神戸須磨離宮公園現代日本野外彫刻展で《位相-大地》を発表。これがもの派誕生のきっかけとなった。
70年にヴェネチア・ビエンナーレで《空相》を発表して以降は、ヨーロッパでも活動。 その後帰国し、73年には環境美術研究所を設立、現在に至るまでパブリック・スペースを中心にランドスケープ、モニュメント、位相絵画の制作を続けてきた。
これまで2003年の川越市立美術館での個展をはじめ、国内外で数々の個展を開催してきた関根。主なグループ展には、「もの派-再考」(国立国際美術館、2005)、「Tokyo 1955-1970:A New Avant-Garde」(ニューヨーク近代美術館、2012)などがある。
ロサンゼルスに拠点を移し、現在も制作を続けている関根。位相幾何学的な観念により様々な素材を使った作品を制作してきた関根は、その制作過程で、完成されるべき作品の明確なイメージをドローイングに残している。
今回、大阪・西天満のYOD Galleryで開催される個展「Project」では、70年代の作品を中心に、その制作過程のドローイングを再制作したものを展示。制作当時、関根がどのような考えや計画により制作してきたのか、その足跡をたどるとともに、半世紀過ぎた現代の美術表現や価値観と比較することもできる。