ポーラ美術館がアイ・ウェイウェイの彫刻作品を新収蔵。国立公園内、森の遊歩道で公開開始

箱根のポーラ美術館が、ベルリンを拠点に活動するアーティスト、艾未未(アイ・ウェイウェイ)の彫刻作品を新収蔵。国立公園内、森の遊歩道で公開を開始した。

展示されたアイ・ ウェイウェイ《鉄樹根》(2015)

 箱根のポーラ美術館が、艾未未(アイ・ウェイウェイ)の彫刻作品《鉄樹根》(2015)を新たにコレクションに加えた。すでに美術館屋外の遊歩道での展示が始まっている。

 アイは社会的な問題に対してコミットを続けるアーティストとして世界的に知られる存在。民主化・人権運動にも精力的に関わり、2013年にドキュメンタリー映画『アイ・ウェイウェイは謝らない』を公開。15年にはベルリンへ移住し、ベルリン芸術大学の客員教授も務めている。また17年には難民をテーマにしたドキュメンタリー映画『ヒューマン・フロー 大地漂流』を制作(日本公開は19年)した。

 本作《鉄樹根》は、アイが繰り返し取り組んできた、有機物と人工物、あるいはオリジナルと複製物の間の緊張関係を強く感じさせるもの。2009年の作品に、中国南部の山間で見つけた100本もの捻れた木の幹をインスタレーションにした《Rooted Upon》があるが、本作はその系譜に連なる作品だ。

 作品の高さは約2メートルで、樹木の一部を鉄で鋳造するスタイルが用いられている。独立した巨大な木の根をかたどった本作は、木の根のように目には見えない場所で複雑に絡み合う中国の縁故社会から切り離され、独立した「個」のあり方を象徴しているという。

 作品にはあえて錆止めの加工が施されておらず、生の鉄が自然に晒され、時とともに緑青に覆われてゆくという。箱根の自然の中でどのような変化を遂げていくのか、その経過にも注目したい作品だ。

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