静岡・熱海のMOA美術館で、葛飾北斎(1760〜1849)の展覧会「北斎 Red Fuji & Blue Wave -冨嶽三十六景-」が開催される。会期は2027年2月26日〜4月2日。
本展では北斎の代表作として知られる「冨嶽三十六景」全46図を一挙に公開するとともに、《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》(1831頃)や《冨嶽三十六景 凱風快晴》(1831頃)を高精細デジタル画像で大画面に投影する。また、「冨嶽三十六景」に描かれた場所を独自に取材し、その現在の風景と作品を比較して紹介する企画となっている。
「神奈川沖浪裏」「赤富士」を含む全46図を一挙公開
富士山を主題に、各地の風景やそこで暮らし、働く人々の姿を描いた「冨嶽三十六景」は当初刊行された36図が好評を博したことから、のちに10図が追加され、全46図となった。本展では、その46図すべてを一挙に公開する。


なかでも広く知られるのが、大波とその向こうに望む富士を描いた《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》(1831頃)と、晴れた早朝に赤く染まった富士をとらえた《冨嶽三十六景 凱風快晴》(1831頃)だ。「The Great Wave」の名でも世界的に知られる前者と、「赤富士」の愛称で親しまれてきた後者をはじめ、《冨嶽三十六景 山下白雨》(1831頃)、《冨嶽三十六景 常州牛堀》(1831頃)、《冨嶽三十六景 武陽佃嶌》(1831頃)などが並ぶ。
1億5000万画素で迫る、北斎の「摺り」
本展のもうひとつの特徴となるのが、作品をデジタル技術によって拡大して見せる試みだ。「冨嶽三十六景」を1億5000万画素の高精細画像として撮影し、大画面に投影。肉眼ではとらえにくい細部まで拡大することで、紙の質感や版画ならではの摺りの技術を紹介する。
大胆な画面構成や富士の姿ばかりに目を奪われがちな「冨嶽三十六景」だが、細部には波や雲、樹木、人々の動作など数多くの要素が緻密に組み込まれている。作品そのものと高精細映像を行き来することで、様々な視点から作品を鑑賞することができる。
北斎が描いた風景の現在
さらに本展では、「冨嶽三十六景」に描かれた土地の現在にも目を向ける。江戸時代に北斎が描いた地点を独自に取材し、現在の風景を写真や映像で記録。作品と並べて比較展示する。


例えば《冨嶽三十六景 武陽佃嶌》(1831頃)に描かれたのは、船が行き交う水辺と、遠景に小さく姿を見せる富士山だ。現在の武陽佃嶌のすがたは江戸時代から大きく変わり、区画整理された河川の奥に高層ビル群が並ぶ。北斎が約200年前に画面へと切り取った場所と現在を重ね合わせることで、「冨嶽三十六景」が描き出した風景の変化をたどる展示となる。

























