東京・下北沢の街を舞台に、「月」をテーマにしたアートフェスティバル「ムーンアートナイト下北沢 2026」が開催される。会期は9月18日〜10月4日。今年で5回目を迎える本イベントでは、アート、音楽、演劇、飲食、ワークショップなど、約100の企画と表現が街中で展開される。

国内外5組のアーティストによる屋外作品が街中に出現
今回、下北線路街全体に「月」をテーマとする屋外作品を発表するのは、ルーク・ジェラム、金氏徹平、岸裕真+竹森達也、松田将英、河野未彩ら国内外5組のアーティストだ。ルーク・ジェラムによる直径7メートルの《Museum of the Moon》は「下北線路街 空き地」に展示。クレーターの細部まで精緻に表現された大きな月を模した本作品は、イベントの顔とも言える存在だ。
金氏徹平は、「月は1つでも、地域や見る人の状況・環境・タイミングによって違う姿になる」という思いを発端に作品を制作。反射シートやアルミ、映像、シルクスクリーンなど多様な素材を寄せ集めるコラージュ手法の新作インスタレーションを、「東北沢駅屋上(改札外)」にて展示する。来場者は月を鑑賞・撮影するだけでなく、シルクスクリーンを通じて「自分の月」を作品として持ち帰ることも可能だ。

岸裕真と竹森達也は、周囲の植物の生体データを取得し、人間に聞こえる音と光へと変換する小型エッジデバイスを用いたインスタレーションを制作。下北沢駅直結の複合施設「NANSEI PLUS」で展開する。本作は、今年3月に海の森公園(東京)で発表された《平行森林 Parallel Forests》の新エディションであり、人間以外の知性と世界を分かちあう新たなコモンズのあり方を問いかける。

1999年に日本の携帯電話文化から生まれ、いまや世界共通の記号となった絵文字(emoji)。松田将英は、過去10年でもっとも使われた「笑い泣き」の絵文字を、高さ約8メートルのバルーンとして物質化した《The Big Flat Now》を「BONUS TRACK隣接駐車場」に展示する。デジタルと物理、情報と物質、感情と身体の境界を問い直す作品であり、夜の下北沢に「第2の月」として浮かび上がる。
河野未彩は、蓄光という現象を通して、日本的な美意識と宇宙的な時間感覚が重なり合う空間を創出する作品《AFTERGLOW - 残光の庭》を下北沢駅前広場に展開する。

街の周遊を楽しめる企画も
さらに、昨年約1800人が鑑賞した、近代詩人・萩原朔太郎の代表作をモチーフとするイマーシブシアター《猫町》が今年も上演される。イヤホンを装着し、下北沢駅前から世田谷代田駅周辺までの街そのものを舞台として巡る体験型演劇で、通常は立ち入ることのできない鉄道施設も舞台の一部として活用。朔太郎が晩年を過ごした街を歩きながら、日常の風景が幻想的な物語へと変化していく体験を楽しむことができる。なお、今年は英語での案内も実施される。
そのほか、中秋の名月にあたる9月25日には、体験型合唱企画「月の下で歌う『ムーンライト』」が「下北線路街 空き地」にて初開催される。また、街を巡ってNFTを集めるデジタルスタンプラリーも実施されるなど、複合的に楽しめる17日間となりそうだ。

























