奈良美智がキュレーションする陶芸展「地層の胎動」がKOSAKU KANECHIKAで開催。植松永次、桑田卓郎ら4作家を紹介【2/2ページ】

4作家が共演

 選出された4名はいずれも、陶芸と現代美術、あるいは工芸と彫刻といった既存の区分を横断する実践で知られる作家たちだ。奈良は、植松永次と安永正臣について「表層を拒む地層とも言える」存在と評し、坂本紬野子については個々の造形物ではなく「集合体の不完全さによる地層の動性」に着目したと語る。また、桑田卓郎については「逆説的な表層の豊かさ」にその魅力を見出したという。

植松永次《深い眠りの中で星を抱く象》(2004) Photo by Osamu Sakamoto © Eiji Uematsu, Courtesy of Gallery 38
安永正臣《モザイク》(2025) Photo by Takayoshi Nonaka-Hill © Masaomi Yasunaga, Courtesy of Nonaka-Hill
坂本紬野子《林の中の納屋》(2026) Photo by Osamu Sakamoto © Chinoko Sakamoto, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

 展覧会タイトルの「地層の胎動」が示すように、本展で焦点が当てられるのは陶という素材に刻まれた時間の蓄積。奈良は、完成された様式や美しい釉調ではなく、「未完であること」「制御しきれないこと」「壊れうること」を内包しながら存在する作品の強度に注目する。そこには、焼成という不可逆的なプロセスを経た物質が、作家の身体や記憶の痕跡を宿しながら立ち現れる瞬間への関心がある。

 陶芸を工芸や現代美術といった既存のカテゴリーに回収するのではなく、その根源的な素材性から捉え直そうとする本展。奈良美智の視点を通して選ばれた4人の作家による作品群は、陶というメディウムの新たな見方を提示する機会となりそうだ。