身体、記憶、そして他者との関係を再構築する実践

自己変革の技術は、アスリートやアーティストの実践のなかにも見出される。チョン・グムヒョンは、リハビリテーション療法に着想を得たパフォーマンスとインスタレーション《Rehab Training》(2015)で、マネキンと自身の身体との間で繰り返される動きを通じて、身体がシステムやケアの形態によっていかに形成されるかを提示する。


モナ・ベニヤミンは、《Trouble in Paradise》(2018)や《Tomorrow, again》(2023)といった映像作品を出展。スラップスティック・コメディ(大胆な喜劇)の様式を用いてパレスチナの占領下における日常生活の不条理を浮き彫りにし、家族という単位そのものを異化して再構成する。


日本からの参加アーティストのひとりである佐々木健は、《Sagami River》(2021)をはじめとする60点以上の絵画を出展。見過ごされがちな日常の品々や障がいを持つ兄のドローイング、歴史的・社会的な風景を注意深く観察し油彩に翻訳することで、絵画における知覚の習慣や価値の体系を批判的に検証する。1960年代から活動する鈴木昭男は、サイトスペシフィックな介入《An Encouragement of Dawdling - "o to da te" and "no zo mi"》(2018-2019)を展開。指定されたリスニング・ポイントを通じて、来場者に立ち止まり、環境の音やリズムに耳を傾けることを促す。


このほか、1980年の5・18光州民主化運動によって人生を大きく変えられた女性たちによる共同体「五月母の家(May Mothers House)」のメンバーによる絵画《Chuseok Songpyeon (In Solidarity)》(2023)なども展示され、個人的な記憶が共有された歴史へと変わるプロセスが紹介される。本ビエンナーレは光州という都市を単なる展示の場としてだけでなく、芸術、集団行動、政治的変化が不可分な場として捉え直す試みとなる。
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