第2章「多彩な美人画の世界」では、新版画における美人画の展開に焦点を当てる。伊東深水をはじめとする作家たちが手がけた美人画は、従来の浮世絵に比べて明るく多彩な顔料を用い、化粧や身支度といった日常的なしぐさを通して、近代女性の姿を瑞々しく描き出した。写実性と洗練を兼ね備えた表現は、新版画が時代の感性を的確に映し取っていたことを示している。


第3章「新たな風景画の出現」は、川瀬巴水や笠松紫浪らによる風景画を中心に、新版画が切り拓いた新しい風景表現を紹介する。西洋の遠近法を取り入れつつも、日本の自然や都市の情緒を大切にしたこれらの作品は、江戸時代の名所絵とは異なり、時間の移ろいや作家の内面を映し出す心象的な風景として成立しているといえる。


第4章「モダン役者絵」は役者絵に焦点を当てる。本章では、山村耕花(豊成)や名取春仙らによる作品を通して、新版画における人物表現の革新を紹介。これらの役者絵は、写実的な表情描写と大胆な造形を併せ持ち、江戸時代初期の鳥居派に見られる太い線の力強さを再解釈したものとなっている。

第5章では、花鳥画の分野における新版画の広がりを紹介。とりわけ小原祥邨の作品は、モダンで明快な構図と日本的な情緒のバランスによって国内外で高い評価を受け、1933年の国際木版画展では大量の注文を集めた。自然の一瞬を捉えた花鳥新版画は、新版画が国境を越えて支持された理由を端的に物語っている。


吉田博や川瀬巴水など、近年人気が高まる新版画。その立役者である版元に着目し、新版画の歴史を再確認できる展覧会となりそうだ。
- 1
- 2



















