11月12日、シンワオークションが「近代美術/コンテンポラリーアート/近代美術PartⅡ/MANGA」が行われた。主要な落札結果をピックアップしてお届けする。なお、本記事における落札価格はすべて落札手数料込みのものとなる。
本オークションで最高額の落札を記録したのは、日本における抽象絵画の先駆者、山口長男の《圧》だ。予想落札価格は7000万円~1億4000万円だった本作は、1億5727万5000円で落札。生前から国際的に活躍していた山口だが、2010年代後半ごろからは国際的なアートマーケットでも高く評価されており、今回の結果もこの流れを受けたかたちとなる。
具体美術協会を代表する作家のひとり、田中敦子も国際的なアートマーケットでは高い人気を集めている。今回出品された《三ツ玉のコンポーズ》は、予想落札価格8000万円~1億2000万円に対して、1億2815万円で落札された。
日本人作家としてアートマーケットにおいて不動の地位を確立したといえる草間彌生。人気の南瓜をモチーフとしたユニークのペイント作品《かぼちゃ》が、予想落札価格7000万円~1億円に対して、1億2465万5000円で落札された。
今回、シンワオークションではマンガの原画も出品された。手塚治虫や赤塚不二夫、田河水泡らによるマンガ原画のほか、アニメの原画も出品。なかでも宮崎駿監督のアニメーション映画『天空の城ラピュタ』の12点組の原画は、120~180万円の予想落札価格に対して605万8000円で落札された。
こうしたアニメやマンガの原画は近年国内外のオークションで人気を集めており、その普遍的な人気の高さを伺わせるいっぽうで、アーカイヴの散逸という視点からも懸念の声が出ていることも事実だ。
伊東深水や川瀬巴水など、新版画が高値で取り引きされたことも落札結果では興味深い。伊東の版画3点組は予想落札価格2~5万円に対して1339万7500円、川瀬の版画3点組も2~5万円に対して180万5750円と、版画作品ながら大幅な値上がりを記録した。国内外における新版画の人気の高まりを如実に印象づける結果と言えるだろう。
近代から現代美術、日本画、版画、アニメやマンガの原画なども含めて全352ロットのうち、落札率は92.8パーセント。手数料を除いた落札総額は12億1480万円となった。