展覧会は3章構成。第1章では、ピカソのセラミックとカタルーニャとの関係に焦点を当て、バルセロナ・ピカソ美術館に所蔵される「マノロ・コレクション」と同エディション、同タイプの作品を中心に紹介する。あわせて、1950年代以降のバルセロナ市への寄贈作品や、当時の公文書、ガスパール画廊の資料などから、戦後カタルーニャにおけるピカソ受容の一端を示す。
第2章では、ミロが陶芸家ジュゼップ・リュレンス・アルティガス、そしてその息子ジュアン・ガルディとともに展開したセラミック制作を紹介する。セラミックを重要な表現手段として位置づけたミロの創作と、フランコ体制下のカタルーニャにおける文化的抵抗の文脈が、ポスター作品や彫刻とともに浮かび上がる。
第3章は、現代スペイン美術を代表するバルセロに焦点を当てる。2022年と23年に来日し、信楽で陶芸家・古谷和也とともに制作したセラミック作品を、国内の美術館で初めて公開する点が大きな見どころだ。加えて、挿絵本や版画など多様な表現も紹介される。さらに、FCバルセロナの節目となる記念ポスターとして、ミロとバルセロがそれぞれ手がけた作品を並置展示し、カタルーニャ文化の継承と更新を象徴的に示す。
3世代の芸術家によるセラミック表現を通して、土地への愛と歴史の記憶を読み解く本展は、20世紀から現代へと連なるスペイン美術の豊かな広がりを提示する機会となりそうだ。
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