洋菓子「シガール」で知られるヨックモックの会長・藤縄利康のプライベート美術館で、今年3周年を迎えた東京・南青山の「ヨックモックミュージアム」。その第4弾となるコレクション展「ピカソ いのちの讃歌」が開幕した。会期は2024年10月14日まで。
ヨックモック・コレクションは、ピカソの幅広い芸術活動のなかでも、第二次世界大戦後に傾倒したとされる「セラミック作品」を中心に収集した世界有数のコレクションだ。本展は、監修者に岡村多佳夫(美術史家、元東京造形大学教授)と、町田つかさ(和泉市久保惣記念美術館 学芸員)を迎え、それらのセラミック作品に現れる様々な「生命」に着目するものとなっている。
会場は、ピカソが幼い頃に触れた「闘牛」からインスピレーションを得た作品を紹介する1章に始まり、ピカソに縁の深い「鳩」が登場する2章、その眼光の鋭さから、自身と存在を重ねたであろう「フクロウ」を取り上げる3章、魚やウニをはじめとする海の生き物や鳥、虫など、手のひらに収まる小さな命を主題とする4章。そして最終章では、ピカソの晩年に寄り添った妻「ジャクリーヌ」をモチーフとした作品の数々を紹介するといった、全5章で構成されている。
それらのセラミック作品に現れる様々な動物や人物には、ピカソがとらえた独特の形状と佇まいといった「生命」が宿っており、その愛らしさが鑑賞者を魅了するだろう。また、生前のピカソやその制作風景が垣間見ることのできる映像も会場では視聴可能となっている。
ほかにも、撮影可能なフォトスポットや、ミュージアムの1階に併設されるカフェでは、同ミュージアムならではのメニューも楽しむことができるのも嬉しい。鑑賞の前後にふらっと立ち寄ってみてはいかがだろうか。
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