第3章「レンブラント版画の影響:19-20世紀」は、前章に続くかたちで19〜20世紀のレンブラントのエッチングの影響をたどる。最初に注目するのはスペインの画家、フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤによるレンブラントのエッチング研究だ。その成果を積極的に取り入れた作品が展示される。


19世紀の半ばから後半にかけてのフランスでも「エッチング復興」の機運が高まった。芸術家のみならず文学者や批評家も参加したこのムーブメントにおいて、理想的とされたのがレンブラントだった。こうした動きについても本章では取り上げる。


そして章の後半では、レンブラントの影響のもとで制作された作品群を紹介。レンブラントがその可能性を試みた手法を取り入れたフェリックス・ビュオやメアリー・カサットの作品を紹介。さらにレンブラントを直接的に引用したアンリ・マティスの自画像などを通じて、現在に至るまでのレンブラントへの敬意の系譜を照らし出す。


レンブラントがエッチングにおいて何を試み、何を目指したのか。そして、なぜレンブラントのエッチングが今日まで高い評価を得てきたのか。西洋版画の歴史をひも解きつつ、その問いに迫る展覧会となりそうだ。



















