「版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト」が来夏、国立西洋美術館で開催。レンブラントのエッチングの魅力とその影響に迫る【3/4ページ】

 第2章「レンブラント版画の影響:17-18世紀」は、レンブラントがエッチングで残した功績が、17〜18世紀の芸術家にいかなる影響を与えたのかを探る。

 新作当時から高い人気を博したレンブラントの版画であるが、17世紀におけるその影響の広がりは限定的だったという。しかし、そのなかでもイタリアのジョヴァンニ・ベネデット・カスティリオーネやステファーノ・デッラ・ベッラといったその影響を受けた作品が生み出された。

ジョヴァンニ・ベネデット・カスティリオーネ 箱舟に入る動物たち 1650-55 エッチング 国立西洋美術館
ステファーノ・デッラ・ベッラ 『素描の法則』(23) ターバンをかぶった男性の頭部習作 1641 エッチング 国立西洋美術館

 18世紀にレンブラントのエッチングに注目したのは、ドイツの芸術家たちだった。模倣作がつくられるだけでなく、レンブラントの未完の作品を完成させるなどの試みが行われ、また美術愛好家たちは作品を積極的に収集。カタログ・レゾネ(全作品目録)の編纂も始まり、今日のレンブラント研究の礎となっていった。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン 窓辺でエッチングを制作する自画像 1648 エッチング、ドライポイント レンブラント・ハウス美術館
ゲオルク・フリードリヒ・シュミット 窓辺で素描する自画像 1758 エッチング、ドライポイント レンブラント・ハウス美術館

 本章では、こうしたイタリアやドイツを中心としたレンブラントのエッチングに影響を受けた作家たちの作品を展示。その影響関係をたどることができる。