展覧会は3章構成で、レンブラントのエッチングに対する挑戦とその継承を紹介する。第1章「版画家レンブラント」では、17世紀初頭、銅版に直接線を刻んで版をつくるエングレーヴィングの代替とみなされてきたエッチングは、その技法ならではの表現が追求されるようになる。レンブラントもそのひとりだ。

レンブラントはやがてエッチング技法の牽引者として主題の選択や表現において様々な探求を行った。本章ではこうしたレンブラントのエッチング制作を「肖像と頭部習作」「無宿者と市井の人々」「キリスト教主題」「スケッチ」「風景」の5セクションにもとづいて見ていく。


本章ではとくに、エッチング制作開始当初のレンブラントの対象の表情をいかにエッチングに落とし込むかという表現の追求や、その後より深化していく豊かな階調などに注目したい。なかでもエッチングの歴史に残る傑作《病人たちを癒すキリスト》(1649頃)は、緻密に重ねた線の集積がつくり出す闇と光の厳かな空気感は圧巻だ。






















