「家族」という視点からゴッホの画業をたどる。大阪、東京、名古屋で開催される「ゴッホ展」が詳細発表【4/4ページ】

 また、本展でとくに注目すべき作品として、ゴッホがパリ時代の最後に描いた《画家としての自画像》(1887-88)も紹介される。この作品は、ゴッホがパリで学び得た新しい表現技術を駆使しており、色彩の扱いや筆使いにその成果が顕著に表れている。また、ヨーが1890年にゴッホに初めて会った際の印象ともっとも近いと語った作品でもある。しかしいっぽう、ゴッホ自身はこの自画像について、妹に宛てた手紙のなかで「ピンクがかった灰色の顔」「生気がなくこわばっていて、赤ヒゲが伸びたまま物悲しい」と記しており、彼の自己認識と他者の印象の違いが浮かび上がる。

報道発表会の投影資料より、《画家としての自画像》(1887-88、ファン・ゴッホ美術館蔵)とその細部

 さらに各会場では、幅14メートルを超える空間で体感するイマーシブ・コーナーも設置される。巨大モニターに映し出される《花咲くアーモンドの木》などの名作や、3Dスキャン技術を用いた《ひまわり》(SOMPO美術館蔵)の映像など、通常の鑑賞では気づきにくい筆遣いや絵具の質感を体感することができるだろう。

報道発表会の投影資料より、イマーシ・コーナーのイメージ

 これまでのゴット展とは異なり、ゴッホの芸術を、それを支えた家族の物語を通じて紹介する本展。ぜひ会場で実物を鑑賞し、ゴッホの作品の魅力を再発見してほしい。

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