「鴨治晃次 展|不必要な物で全体が混乱しないように」がワタリウム美術館で開催。66年ぶりの帰国展【2/2ページ】

 本展は、鴨治の小回顧展として、ポーランドのザヘンタ国立美術館とアダム・ミツキェヴィチ・インスティテュートによって企画されるもの。鴨治の60年代から今日までに制作された約20点の絵画、9点の立体作品、80点のデッサン、3点のインスタレーションが展示される。

 本展で展示されている「お寺の壁に」シリーズ(1963-1967)や《ラグーン》(1964-67)など、60年代半ばに制作された「プルシュクフ絵画群」と呼ばれるレリーフのような絵画シリーズは、作家の制作活動の出発点を思い起こさせる重要なものとなる。

 また、日本の伝統に影響を受けたとされる、抽象絵画と中央に置かれた石のインスタレーション《二つの極》(1972)や、友人の自死という悲劇的な出来事への回帰が作品として表現された《佐々木の月》(1995)といった作品も展示。さらに、数年かけて制作した一連の《デッサン》(2011-15)など、一貫して紙と筆と墨と白い絵具だけを使ったシンプルな作品も見どころとなる。

編集部

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