江戸から明治へと移り変わる激動の19世紀、日本絵画の伝統を受け継ぎながら新たな表現へ挑戦した絵師たち。そんな幕末明治期に個性的な作品を描いた絵師や変革を遂げた画派の作品に着目する展覧会「激動の時代 幕末明治の絵師たち」が、東京・六本木のサントリー美術館で開催される。会期は10月11日〜12月3日(会期中展示替えあり)。
幕末明治期の絵画は、江戸と明治(近世と近代)という時代のはざまに埋もれ、かつては等閑視されることもあった。しかし、近年の美術史では、江戸から明治へのつながりを重視するようになり、現在、幕末明治期は多士済々の絵師たちが腕を奮った時代として注目度が高まっているという。
本展は、そんな幕末明治期の江戸・東京を中心に活動した異色の絵師たちを紹介し、その作品の魅力に迫ろうとするものだ。
天保の改革や黒船来航、流行り病、安政の大地震、倒幕運動といった混沌の時代。この世相を物語るように、劇的で力強い描写、迫真的な表現、そして怪奇的な画風などが生まれた。また、当時本格的に流入してきた西洋美術を受容した洋風画法や伝統に新たな創意を加えた作品も描かれたという。
展覧会は「幕末の江戸画壇」「幕末の洋風画」「幕末浮世絵の世界」「激動期の絵師」の4章構成。いまなお新鮮な驚きや力強さが感じられる幕末明治期の作品群を特集する貴重な機会に要注目だ。