新たなアート複合施設「まるかビル」から塩田千春・イケムラレイコの2人展まで、今週末に見たい展覧会ベスト4

今週開幕した展覧会と4月3日までに終了する展覧会から、とくに注目したい4つをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

ジェーン・エヴリン・アトウッド「Soul」展の展示風景より

ジェーン・エヴリン・アトウッドの日本初となる個展。「Soul」(シャネル・ネクサス・ホール)

 パリの路上に立つ娼婦たちをとらえた作品で1970年代にデビューし、現在も精力的に活動している写真家、ジェーン・エヴリン・アトウッド。その日本初となる個展「Soul」が、東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールで開催されている。

 本展では、デビュー作となった70年代の娼婦のシリーズをはじめ、76年から2014年にいたるまでの代表的作品の数々が並ぶ。会場はシリーズ別や年代順といった展示構成ではないが、被写体のジェスチャーや表情、イメージのなかの光と影などから、展示の流れ・つながりを感じることができる。

 本展のために来日したアトウッドは、次のような言葉を寄せている。「写真を撮ったところで何の役にも立たない、とときに思うこともあります。それでも、とにかくやらなければならないのです」。アトウッドが被写体に向けた親密な眼差しを会場で堪能してほしい。

会期:2022年3月30日~5月8日
会場:シャネル・ネクサス・ホール
住所:東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4階
電話番号:03-6386-3071 
開館時間:11:00~19:00(最終入場18:30)※最新情報は公式ウェブサイトにて要確認 
休館日:会期中無休 
料金:無料

3つのギャラリーが集積するアート複合施設。「まるかビル」

 コンテンポラリー・アート、デジタル・アート、都市文化のオルタナティブを再考するスペースとして、3つの異なる特性を持つギャラリーが集積するアート複合施設「まるかビル」が、4月2日に東京・馬喰町にオープンする。

 2階〜4階には、それぞれ現代美術ギャラリー「PARCEL」の2つ目の拠点となる「parcel(パーセル)」、デジタル/NFTアートをフィジカルで体験できる「NEORT++(ネオルトツー)」、アーティストとともに都市文化におけるオルタナティブを再考するプロジェクトスペース「CON_(コン)」が入居。異なる視点からアートに向き合い、相互に連携しながらプログラムの形成を目指している。

 オープンとともに、parcelでは抽象的な作風で知られている作家・安野谷昌穂の2年ぶりの個展「Earth Song, Birth Gong」が開催。NEORT++では展示会期中のみ鑑賞できるNFTアートのグループ展「Moment」、CON_では、23歳以下の若手アーティスト3人による展覧会「極薄inframince」が行われる。

住所:東京都中央区日本橋馬喰町2-2-14 maruka 2/3/4F

コラボレーションの新作展示も。「イケムラレイコ・塩田千春 対談集刊行記念展」(銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM)

 イケムラレイコと塩田千春による新刊対話集『手の中に抱く宇宙 イケムラレイコ+塩田千春 対話集』の刊行記念展が、銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUMで開催される。

イケムラレイコと塩田千春

 ベルリンを拠点に世界で活躍する2人のアーティスト、イケムラレイコと塩田千春。2021年には名古屋で2人展が開催され、そのなかではコラボレーションドローイングも出品され話題になった。新刊は、5回にわたる対話をまとめた「対話集」と名古屋での2人展「手の中に抱く宇宙」の出品作を収録している。

 新刊の刊行記念展では、昨年の2人展「手の中に抱く宇宙展」(ケンジタキギャラリー、名古屋)に出品したイケムラと塩田それぞれの作品、共作のドローイング、そして新作のコラボレーション作品を展示。さらには、石を持ったイケムラ自身の手がスキャンされた写真に塩田が赤い糸を縫い重ねた作品を、今回の対話集とのセットでエディション版画として数量限定で販売する。

会期:2022年4月2日~4月13日
会場:銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM
住所:東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 6F
電話番号:03-3575-7755
開館時間:銀座 蔦屋書店のウェブサイトにて確認 
料金:無料

排除アートと身体の関係性を探る。「調教都市」(Token Art Center)

 1996年生まれのアーティスト、小寺創太による個展「調教都市」が4月3日まで東京・東向島にあるToken Art Centerで開催されている。

小寺創太 個展「調教都市」メインイメージ

 小寺は、ある設定が施された空間の中で極めてシンプルな行為を行うか、ただ「いる」ことによって自身の身体を展示。全身白タイツ姿で絵画作品を持ちホワイトキューブの白壁になりきる、展示場所となった公共空間内で不審者を装い徘徊、あるいは事件現場を模した一室で遺体を演じるなどのパフォーマンスを行ってきた。

 今回は小寺が排除アートに着目。排除アートは、街中に存在する真ん中に不自然な間仕切りをつけたベンチや鋭利な突起が多く配置された公共空地など、人間が長時間居座れないよう身体を拒否するようデザインされたオブジェの通称。小寺はそれらを身体を拒絶する台座としてとらえ、それらと新たな関係を結ぶため強引にそれらの上に身体を展示する。

会期:2022年3月5日~4月3日
会場:Token Art Center
住所:東京都墨田区東向島3-31-14
開館時間:12:00~19:00 ※最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
料金:無料

番外編:特別展「ポンペイ」と「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」

 火山の噴火により埋没した古代ローマの都市・ポンペイの発掘品を通し、かつて繁栄した都市とその市民生活を紹介する特別展「ポンペイ」(東京国立博物館 平成館)と、ドイツ・ドレスデン国立古典絵画館のコレクションから、フェルメールをはじめとする17世紀オランダ絵画の名品を紹介する「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」(東京都美術館)が、ともに4月3日に閉幕を迎える。

 いずれも会期終了までの日時指定券が完売しているが、販売状況によって当日分の入場券を購入できる可能性がある。

特別展「ポンペイ」の展示風景より
「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」の展示風景より、ヨハネス・フェルメール《窓辺で手紙を読む女》(修復後)(1657-59頃)

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