EXHIBITIONS

ジェーン エヴリン アトウッド展「Soul」

ジェーン・エヴリン・アトウッド La Place de la Contrascarpe, Paris, France, 1983 ©︎ Jane Evelyn Atwood

ジェーン・エヴリン・アトウッド Massachusetts, United States, 1983 ©︎ Jane Evelyn Atwood

ジェーン・エヴリン・アトウッド Blind series, Massachusetts, United States, 1983 ©︎ Jane Evelyn Atwood

ジェーン・エヴリン・アトウッド Blind series, Saint Mandé、France,1980 ©︎ Jane Evelyn Atwood

ジェーン・エヴリン・アトウッド Pigalle series, Paris, France,1979 ©︎ Jane Evelyn Atwood

ジェーン・エヴリン・アトウッド Landmine series, Kuito, Bié, Angola, 2002 ©︎ Jane Evelyn Atwood

ジェーン・エヴリン・アトウッド Prison series, Anchorage, Alaska, United States, 1993 ©︎ Jane Evelyn Atwood

 シャネル・ネクサス・ホールでは、ジェーン・エヴリン・アトウッドの日本初個展「Soul」を開催する。

 1947年にニューヨークに生まれたアトウッドは、学生時代にダイアン・アーバスの展覧会を見て、社会の周縁にいる人たちのポートレイトとその作品が心に訴え続ける力に感銘を受けた。この出来事をきっかけに、71年からパリを拠点として、自身の強い好奇心から作品を制作。自らが直面する苦難に向き合い、生き抜いていく人間の姿に魅せられ、そして同時に、社会における排除/排他という概念に興味を抱き、私たちの多くがその存在を知らない、もしくは見て見ぬふりをしている世界に入り組んだ。

  76年からは、パリの路上に立つ娼婦たちの姿を、自身初のシリーズとして撮影を開始。80年に、デビュー作となったこの娼婦たちの写真と、当時撮影を始めたばかりだった盲目の子供のシリーズが評価され、第1回ユージン・スミス賞を受賞した。

 その後もアトウッドは、エイズ患者の密着取材や10年間にもおよんだ女囚たちの撮影、 4年間を費やした地雷犠牲者の調査など、被写体を深く理解するために、何ヶ月も、時には何年もの間、対象と時間をともにする、極めて私的で情熱的なアプローチでそれぞれのプロジェクトに没頭した。日本では、報道カメラマンとして阪神淡路大震災に取材している。

 アトウッドが過酷な現実をそのカメラでとらえ生み出したイメージは、直接的でありながらも繊細で、冷酷さや搾取的な印象を与えることはない。悲惨で忌まわしくさえあったであろうその閉じられた世界で、非凡な感性と被写体に対する思いやりを作品によって示してきたアトウッドにとって、写真とは、自らの感情をストレートに表現するための手段である。

 本展は、アトウッドの代表的なシリーズから厳選した作品の数々や、報道カメラマンとしての仕事などを紹介しながら、アトウッドの被写体に対する飽くなき探究の軌跡をたどる。