東京・六本木のサントリー美術館で、大英博物館が所蔵する葛飾北斎(1760~1849)の作品を中心に、北斎の画業の変遷を追う展覧会「大英博物館 北斎―国内の肉筆画の名品とともに―」が開催される。会期は4月16日〜6月12日まで。
江戸時代後期を代表する浮世絵師である北斎は国外でも高い人気を誇る。北斎と海外との関係については、印象派およびポスト印象派の画家たちによる北斎への傾倒や、フランスを中心としたジャポニスムへの影響が有名だが、イギリスにも多くのコレクターや研究者がいる。その愛好の歴史は19世紀まで遡ることができ、なかでも大英博物館には複数のコレクターから入手した北斎の優品が多数収蔵され、そのコレクションの質は世界でもトップクラスと言われている。
本展は大英博物館が所蔵する北斎作品を中心に、国内の肉筆画の名品とともに、北斎の画業の変遷を追う展覧会だ。約70年におよぶ北斎の作画活動のなかでも、とくに還暦を迎えた60歳から、90歳で没するまでの30年間に焦点を当て、数多くの代表作が生み出されていく様子を紹介。大英博物館の所蔵する揃物の優品や、現存数の少ない貴重な初期作がそろう。
また、大英博物館に北斎作品を収めた外科医のウィリアム・アンダーソン(1842~1900)や小説家のアーサー・モリソン(1863~1945)をはじめ、6人のコレクターおよび研究者に着目し、旧蔵品や著作、関連資料などを通して、イギリスにおける北斎愛好にも焦点を当てる。