火山灰から出土した名品が集結。特別展「ポンペイ」(東京国立博物館 平成館)
紀元後79年、イタリア・ナポリ近郊のヴェスヴィオ山の大規模な噴火により埋没した古代ローマの都市、ポンペイ。その出土品を通して、2000年前に繁栄した都市とその豊かな市民生活をよみがえらせる特別展「ポンペイ」が、東京国立博物館 平成館で開幕した。
ポンペイでは、18世紀から現在に至るまで発掘が続けられている。本展では、ポンペイ出土の膨大な遺物を収蔵するナポリ国立考古学博物館のコレクションより、壁画、彫像、工芸品の傑作から、食器、調理具といった日用品まで発掘品約150点が集結した。
展覧会は、「序章:ヴェスヴィオ山噴火とポンペイ埋没」「ポンペイの街──公共施設と宗教」「ポンペイの社会と人びとの活躍」「人びとの生活──食と仕事」「ポンペイ繁栄の歴史」「発掘のいま、むかし」の6章構成。様々なパースペクティブから火山灰で埋没したポンペイの「タイムカプセル」の中身を解き明かす。
会期:2022年1月14日~4月3日
会場:東京国立博物館 平成館 特別展示室
住所:東京都台東区上野公園13-9
電話番号:050-5541-8600
開館時間:09:30~17:00 ※最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
休館日:月(2022年3月21日、3月28日は開館)、3月22日
料金:一般 2100円 / 大学生 1300円 / 高校生 900円 / 中学生以下無料 ※事前予約(日時指定券)推奨
初期絵画から近年の陶芸までが集結。「梅津庸一 ポリネーター」(ワタリウム美術館)
現代美術家・梅津庸一は、これまで細密画のようなドローイングや点描画を思わせる絵画作品、自身のパフォーマンスを記録した映像作品、陶芸作品など、多岐にわたる形態の作品を発表してきた。また、美術教育のあり方を問いながらメンバー複数人とともに制作と生活を営む私塾「パープルーム予備校」(2014〜)や、ギャラリー「パープルームギャラリー」の運営企画など、現代の日本の美術に様々な問いを投げかける活動も積極的に行っている。
今週末までのワタリウム美術館での個展「梅津庸一 ポリネーター」は、梅津の初期ドローイングから10年代の美術史を強く意識した作品群、そして近年とくに力を入れている陶芸作品までを一堂に集めることで、その活動を俯瞰するとともに、その思索のこれまでとこれからに迫る展覧会だ。
梅津は本展についてこう語っている。「いまの日本の美術業界には様々な問題があり、目をそむけたくなることも多い。けれども、美術そのものはやはり捨てたものではないし、変わらず魅力がある。集中的に取り組んできた作陶をはじめ、本展をつくりあげる過程で、それをいま再び確かめることができた」。
会期:2021年9月16日〜2022年1月16日
会場:ワタリウム美術館
住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6
電話番号:03-3402-3001
開館時間:11:00〜19:00
休館日:月(9月20日、1月10日は開館)、12月31日〜1月3日
料金:一般 1200円 / 学生(25歳以下)1000円 / 大人2人 1800円 / 学生2人 1400円
その画業の全貌に肉薄。「ミケル・バルセロ展」(東京オペラシティ アートギャラリー)
現代芸術を牽引する美術家のひとりとして、欧州を中心に精力的に活動するミケル・バルセロの全貌がまとめて紹介される貴重な展覧会が、新宿の東京オペラシティ アートギャラリーで開幕した。
バルセロは1957年、13世紀からスペイン・マジョルカ島で続く名家に生まれた。76年に前衛芸術家のグループに参加し、82年の「ドクメンタ7」で初めて国際舞台に登場。このデビュー以降、スペインをはじめ、パリやアフリカなど世界各地にアトリエを構え、各地の風土や文化、歴史と対峙するなかで制作を続けている。
展覧会はドクメンタ7に選出された喜びを描いた《良き知らせ》(1982)と、バルセロが美術に進むきっかけとなった母親の肖像画《母》(2011)から始まり、近作から過去作へと時代を遡るかたちで構成。原初的なイメージを表現し、人間の生の営み、その根源への問いを投げかけるバルセロの画業の全貌に触れられる。
会期:2022年1月13日~3月25日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:11:00~19:00 ※入場は18:30まで。最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
休館日:月(祝日の場合は翌火)、2月13日(全館休館日)
料金:一般 1400円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下無料
奇想の系譜とモードの美に迫る。「奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム」(東京都庭園美術館)
シュルレアリスムがモードに与えた影響をひとつの視座としながら、自由な創造力と発想によってモードの世界にセンセーションをもたらした様々な美の表現に迫る、東京都庭園美術館の「奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム」展。
20世紀最大の芸術運動といえるシュルレアリスム。革新的な意匠を生み出し、時代を先駆けようとする優れたクリエイターたちの表現は、ときにシュルレアリスムの理念と重なり合うものであり、モードの世界にもシュルレアリスムに通底するような斬新なアイデアを垣間見ることができる。
本展では、ヤン・ファーブル、スティーヴン・ジョーンズ、ジャン・デュパ、サルヴァドール・ダリ、ルネ・マグリット、マン・レイ、ハリー・ゴードン、マルタン・マルジェラ、ドルチェ&ガッバーナ、舘鼻則孝、永澤陽一らの作品を展示。16世紀の歴史的なファッションプレートから現代美術にいたるまでを幅広く展覧する。
会期:2022年1月15日~4月10日
会場:東京都庭園美術館
住所:東京都港区白金台5–21–9
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜18:00
休館日:月(3月21日は開館)、3月22日
料金:一般 1400円 / 大学生 1120円 / 中・高校生 700円 / 65歳以上 700円