昨年11月に上海の龍美術館西岸館(ロン・ミュージアム・ウエストバンド)で開催された、アーティスト・松山智一の中国本土初の個展「Accountable Nature」が、3月7日〜5月16日に中国・重慶の龍美術館重慶館でも開催される。
同館は、2016年に龍美術館の分館として重慶市江北区に開館したもの。同館で初めて開催される国際的なアーティストの個展となる本展では、上海で展示された作品に加え、数々の新作も紹介される。
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現在ニューヨークを拠点に活動している松山は、日本とアメリカという異なる文化背景のなかで育ち現代を生き、アーティストとしてのキャリアを積み重ねてきた。その作品は、都市という「ひとつの世界」における様々な文化の融合を体現している。
例えば、日本古来の伝統色や蛍光色の独特な組み合わせが画面を構成するキャンバス作品では、古典絵画やアンティークの文様、雑誌のピンナップやインターネット広告、そして東洋と西洋のイメージなどの要素を並置させることで、多様で曖昧な現代の文化を描写する。
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また、千羽鶴をモチーフにしたシリーズでは、松山は西洋の近代美術の文脈で排除されてきた、東洋美術によく見られる願掛けや縁起担ぎなどの要素を独自の色彩を用いてフラットで抽象的に描写。西洋で確立された抽象画の概念に挑戦し、未知の領域へと美の定義を探知する。
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展覧会のタイトル「Accountable Nature」は、自然災害や予期せぬ出来事が社会や経済の機能を麻痺させることを意味する「force majeure(不可抗力)」という言葉にちなんで付けられたもの。人は自然の恵みを享受し、平時は両者の間に安定的な関係が築かれるが、ときに猛威を振るう自然はその信頼関係を揺るがし、人は抵抗するすべを失ってしまう。しかし、その理不尽とも思える自然の力に説明責任(accountable)はないということを象徴する。
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本展では、松山が人々の生活空間に漂うこのような観念を具現化した7メートルにおよぶ巨大彫刻《Nirvana Tropicana》をはじめ、キャンバス作品などの代表作や最新作を体系的に展示。
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社会が「ニューノーマル」な生き方に適応し始めているなかで、人々がアイデンティティを見出す「現実」は本物なのか、そもそも「現実」とは何なのか、という問いを投げかける。