GINZA SIX内にある銀座 蔦屋書店は、新進アーティストを特集する展覧会シリーズ「銀座 蔦屋書店ART PARTY」を開催中。その第5回目として「自死」や「慰霊」をテーマに多様な表現を行うアーティスト・弓指寛治による個展「マジック・マンチュリア(導入)」が、店内のアートウォール・ギャラリーで開催される。会期は2021年1月5⽇~1⽉31⽇。
弓指は1986年三重県生まれ。名古屋学芸大学⼤学院を修了後、学生時代の友人と名古屋で映像制作会社を起業した。2013年に代表取締役を辞任し上京。作家活動をスタートさせた。
ゲンロンカオス*ラウンジ新芸術校の第一期生として学んでいた15年に、交通事故後で心身のバランスを崩していた弓指の母親が自死。出棺前に頭に浮かんだという「金環を持った鳥のモチーフ」は、以後多くの作品で繰り返し登場する弓指の表現の核となっている。
18年には、約30年前に自死したアイドルをテーマに《Oの慰霊》を制作。同作で、第21回岡本太郎現代芸術賞の敏子賞を受賞した。同年、同作の続編的な展覧会「四月の人魚」を開催したほか、「あいちトリエンナーレ2019」といった芸術祭にも参加するなど勢力的に活動を行っている。21年3月には、「VOCA展2021」に出展予定だ。
本展は、21年から開始される弓指の新たなプロジェクトのプロローグとして位置づけられている。満洲開拓民として渡満していた祖父の死をきっかけに構想されたというこのプロジェクトは、1932年から45年まで存在していた満洲国を巡る様々な立場の人間、満洲での事件などをモチーフにした作品を通じて、弓指の制作の中心にある死と慰霊、被害と加害について考える試みだ。