ヴィンテージアロハから『羅生門』まで、今週末に見たい展覧会ベスト3

今週末に終了、またはスタートする展覧会から、とくに注目したい3つをピックアップしてお届け。新型コロナウイルス対策にともなう事前予約の方法や注意事項については、各館の公式ウェブサイトを参照してほしい。

左から《ONE HUNDRED TIGERS 百虎》(1950年代前期)、《LAND OF ALOHA ランド・オブ・アロハ》(1956)、《EAGLE & Mt. FUJI 富士・鷹・茄子》(1950年代前期) 東洋エンタープライズ株式会社所蔵

ハワイと日本の歴史と文化。アロハシャツの全貌を紹介「ヴィンテージアロハシャツの魅力 COLLECTION by SUN SURF」(茅ヶ崎市美術館)

LAND OF ALOHA ランド・オブ・アロハ 1956 東洋エンタープライズ株式会社所蔵

 重要なハワイ文化の一部であるアロハシャツは、日系移民の労働着がその歴史の発端にあったとも言われている。こうしたヴィンテージアロハシャツを展示することで、その魅力を伝えるとともに、ハワイの歴史、日本文化と日本人に深く関係するアロハシャツの全貌を紹介する展覧会だ。

 「ヴィンテージアロハシャツの魅力 COLLECTION by SUN SURF」と題されたこの展覧会は、70年代に設立されたアロハシャツブランド「SUN SURF(サンサーフ)」のディレクターであり、世界的なアロハシャツコレクターとしても知られる小林亨一(東洋エンタープライズ株式会社代表取締役)が所蔵するコレクションを展示。

 現在では見ることがほとんどできないという1930年代から1950年代にかけてつくられた貴重なヴィンテージアロハシャツが会場に並ぶ。

会期:2020年9月12日~11月8日
会場:茅ヶ崎市美術館
住所:神奈川県茅ヶ崎市東海岸北1-4-45
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで 
料金:一般 800円 / 大学生 600円 / 市内在住65歳以上 400円 / 高校生以下無料

生活のなかの美。「ART in LIFE, LIFE and BEAUTY」(サントリー美術館)

展示風景より、奥が《賀茂競馬図屛風》(17世紀、部分)、手前が野口哲哉《THE MET》(2020)ほか

 7月22日にリニューアル・オープンした東京・六本木のサントリー美術館が。これを記念し、サントリー美術館収蔵作品と現代作家による「生活のなかの美」をテーマとした展覧会が「ART in LIFE, LIFE and BEAUTY」だ。

 サントリー美術館はこれまで「生活のなかの美」を基本理念に展示・収集を行ってきた。同館のリニューアル記念展覧となる「ART in LIFE, LIFE and BEAUTY」では、これらの収蔵品のなかから、酒宴で用いられた丁度や、「ハレ」の場のための着物や装飾品、化粧道具、異国趣味の意匠を施した品など、生活を彩ってきた優品を紹介。

 古美術に造詣の深い現代作家である山口晃、若宮隆志(彦十蒔絵)、山本太郎、野口哲哉の作品も織り交ぜながら、その価値を再確認する。

会期:2020年5月13日〜7月5日
会場:サントリー美術館
住所:東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガーデンサイド
開館時間:10:00〜18:00(金、土〜20:00)
料金:一般 1500円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下無料

日本映画史上の傑作を徹底解剖。「映画『羅生門』展」(国立映画アーカイブ)

『羅生門』セットと雨 国立映画アーカイブ蔵 (c) KADOKAWA 1950

 1950年8月26日に劇場公開された、黒澤明監督の映画『羅生門』。当時国内で大ヒットとはならなかったものの、黒澤の芸術的な野心が認められ、51年にヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を、52年にはアカデミー賞名誉賞を受賞。国際的な評価を確立し、戦後復興のひとつの象徴にもなった。

 本展ではこの『羅生門』の企画から撮影、公開、世界展開にいたるまで様々なエピソードを再検証するとともに、デジタル技術を使った新たな資料展示の可能性に取り組む。

 展示では、それぞれ食い違う登場人物の証言が真実を覆い隠す橋本忍の脚本術、ロケーションを活かし、あえて太陽にカメラを向けた宮川一夫の斬新な撮影、巨大な羅生門をオープンセットとして造形した松山崇ら美術スタッフの功績、そして日本の中世の物語にボレロ調の旋律を大胆に組み込んだ早坂文雄の音楽などを、各種の資料によって解剖する。

会期:2020年9月12日〜12月6日
会場:国立映画アーカイブ 展示室(7階)
住所:東京都中央区京橋3-7-6
開館時間:11:00〜18:30 ※入室は閉館の30分前まで 
料金:一般 250円 / 大学生 130円 / 65歳以上・高校生以下・18歳未満無料

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