EXHIBITIONS

公開70周年記念

映画『羅生門』展

『羅生門』セットと雨 © KADOKAWA 1950 国立映画アーカイブ蔵

本木荘二郎旧蔵 ヴェネチア国際映画祭金獅子賞トロフィ(複製) 国立映画アーカイブ蔵

『羅生門』企画シナリオ 東映太秦映画村・映画図書室蔵

野上照代の撮影台本 野上照代氏蔵

松山崇 『羅生門』写真アルバム © KADOKAWA 1950 玉川大学 教育学術情報図書館蔵

スタジオ撮影スチル写真 © KADOKAWA 1950 株式会社KADOKAWA蔵

劇場公開オリジナルポスター © KADOKAWA 1950 谷田部信和氏蔵

「DAIEI AD BOOK」No.231 © KADOKAWA 1950 槙田寿文氏蔵

アメリカ オリジナル版ロビーカード 槙田寿文氏蔵

西ドイツ リバイバル公開版ポスター(ハンス・ヒルマン作) 槙田寿文氏蔵

Paul Anderer, Kurosawa’s Rashomon.(ポール・アンドラ著『黒澤明の羅生門』原書) 槙田寿文氏蔵

 黒澤明と日本映画の実力を世界に知らしめた『羅生門』。その公開70周年を記念して、日本映画史上の傑作を徹底解剖する展覧会が開催される。

 1950年8月26日に劇場公開された映画『羅生門』は、国内では大ヒットにはならなかったものの、監督黒澤明の芸術的な野心が認められ、51年にヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞。さらに52年に米国アカデミー賞名誉賞を受けることで国際的な評価を確立した。黒澤の、ひいては日本映画の水準の高さを世界に広め、戦後復興のひとつの象徴にもなった名作だ。

 『羅生門』は、黒澤の卓越した演出力だけでなく、それまでの日本映画のつくり方を革新した数々のスタッフワークに支えられた。登場人物それぞれの食い違う証言が真実を覆い隠してしまう橋本忍の脚本術、ロケーションを活かしあえて太陽にカメラを向けた宮川一夫の斬新な撮影、巨大な羅生門をオープンセットとして造形した松山崇ら美術スタッフの功績、日本の中世の物語にボレロ調の旋律を大胆に組み込んだ早坂文雄の音楽。これらのアンサンブルが 『羅生門』の醍醐味となっている。

 本展では、『羅生門』の草案から撮影、公開、世界展開へ、各種の資料によって多角的に迫るもの。撮影現場、宣伝公開から映画祭受賞、世界への影響まで、映画を彩る様々なエピソードを再検証するとともに、デジタル技術を使った新しい資料展示の可能性にも取り組む。

 また、世界初展示の品も含めてこうした名スタッフの功績の実際をデジタル展示も用いて紹介するほか、それぞれくっきりした人物像を創造したまた登場人物を演じた、三船敏郎、京マチ子、森雅之、志村喬ら名優にも注目。さらに、ヴェネチアでの受賞をめぐる当時の資料やこの映画が世界に与えた影響についても触れる。上映企画「生誕100年 映画俳優 三船敏郎」では、『羅生門』を上映予定。