写真家・矢島陽介の個展「Interaction」が、東京・恵比寿のCAGE GALLERYで開催されている。本展では、新作の映像作品を見ることができる。会期は11月8日まで。
学生時代より独学で写真を始めた矢島は、2009年の第1回写真「1_WALL」で入選して以来、精力的に国内外で作品展示を行ってきた。また13年・14年・16年と連続的に、オランダ・アムステルダムで毎年開催される「Unseen Dummy Book Award」に入賞。15年には、写真集『Ourselves / 1981』を刊行した。
矢島はこれまで、都市での生活において日常的に感じる環境へのズレにアプローチする作品を制作してきた。写真のなかの風景や人物は、知っているようで知らない独特の距離感があり、見る者に違和感を感じさせる。
同ギャラリーでの個展開催は、3年ぶり2度目。新作となる映像作品は、2つの映像が対となるインスタレーションだ。同ギャラリーの特徴である2つの窓に収められたディスプレイに、左右で類似する異なったイメージを上映。ループしながら複数の組み合わせで展開されていく。
いっぽうのモチーフは微細な動きの変化をとらえた動画、もういっぽうは静止画で構成され、一見どちらも静止画に見える。パブリックに開かれた展示空間において、路上を通り過ぎる人と、立ち止まり鑑賞する人、両者の間で経験の質感にズレをつくりながら、それを幾重にも重ねることで違和感を助長しようと試みている。
矢島は「かつてそうだったはず、という認識は『そうだった気がする』『そうではなかったかもしれない』という疑念となり、つねに揺らいでいく」とコメント。揺れ動く写真のようなその映像は、見ることを徹底的に問いかけるだろう。