現代に見る「写真と映像の物質性」。迫鉄平、横田大輔ら参加の「New Photographic Objects」が埼玉県立近代美術館で開催中

6月2日に再開となった埼玉県立近代美術館では、迫鉄平、滝沢広、Nerhol、牧野貴、横田大輔による展覧会「New Photographic Objects 写真と映像の物質性」が開催中。本展では、メディアの物質性を重視したアプローチによって写真・映像作品を手がけてきた5組の実践を展観する。会期は9月6日まで。

迫鉄平 2014年のドローイングブック 2018 シングルチャンネル・ビデオ

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、2月29日から閉館していた埼玉県立近代美術館。同館が6月2日に再開し、企画展「New Photographic Objects 写真と映像の物質性」の会期も9月6日まで延長となった。

 本展では、デジタル技術が加速度的に発展し社会に浸透した現代において、メディアの物質性を重視した独自のアプローチを行ってきた迫鉄平、滝沢広、Nerhol、牧野貴、横田大輔の、4人と1組のアーティストに注目。その作品をラディカルな再考と更新を目指す「新しい写真的なオブジェクト」と措定し、現代における写真・映像表現の一断面をとらえる。

滝沢広「AVALANCHE/SHEET/DUAL」(rin art association、2017)展示風景 (C) Hiroshi TakizawaCourtesy of rin art association
Nerhol Portrait of Mr. Yoshida 2017 インクジェット・プリント Nerhol Courtesy of YKG

 迫鉄平は1988年生まれ。複数の瞬間を一枚の写真に畳み込むスナップ写真のシリーズや、スナップ写真の技法を応用した映像作品で、「決定的瞬間」から被写体と鑑賞者を解放することを試みている。2015年「キヤノン写真新世紀」グランプリを受賞し、加納俊輔、上田良とのアーティストユニット「 THE COPY TRAVELERS 」としても活動。

 滝沢広は1983年生まれ。石や岩を被写体とした写真のプリントを重ねる、切断する、折りたたむなどの多様な手つきによって、重厚で物質的なイメージを制作する。またNerholは、グラフィックデザイナー・田中義久(1980年生まれ) と彫刻家・飯田竜太(1981年生まれ) によるアーティストデュオ。ある条件下で撮影された数百枚の写真を積層させ、彫り込む手法で知られている。

牧野貴 Still in Cosmos II(部分) 2016 プラチナ・プリント (C) Takashi Makino
横田大輔「Room.Pt.1」(Guardian Garden、2019)展示風景

 牧野貴は1978年生まれ。劇映画やミュージックビデオなどのカラーリストを担当し、2004年から自身の映像作品を発表。自然現象や風景をフィルムやビデオで撮影し、編集段階で重層的な操作を行っている。そして横田大輔は1983年生まれ。撮影後のデータ加工、出力や模写の反復、特殊な現像方法などを駆使した写真を手がける。写真集を多数出版するほか、ZINE制作や音楽パフォーマンスなど幅広い活動を展開している。

 なお関連イベントについては、公式ウェブサイトを参照してほしい。

編集部

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