「ヒロシマ・アピールズ展2020」が京都とウィーンで開催中。渡邉良重による最新ポスター《いのち》に注目

平和の尊さを訴えるポスターを制作し、国内外に広く発信する「ヒロシマ・アピールズ」。シリーズ23作目となる2020年版のポスターは、渡邉良重の《いのち》に決定。現在、京都とウィーンの2会場で開催中の「ヒロシマ・アピールズ展2020」では、1989年発表の第1作から渡邉が手がけた今年度版までの全23作品を見ることができる(京都展〜9月6日、ウィーン展〜9月13日)。

渡邉良重による2020年度版ポスター

 1983年より、日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)は、ヒロシマ平和創造基金・広島国際文化財団と協働し、ポスターキャンペーン「ヒロシマ・アピールズ」を実施。原爆の記憶を絶やさずに平和を望む「ヒロシマの心」を伝えていくため、毎年1名のグラフィックデザイナーがポスターを制作し、国内外に広く頒布する活動だ。

 シリーズ23作目となる2020年版のポスターは、渡邉良重(わたなべ・よしえ)による《いのち》に決定。渡邉は1961年山口県生まれ。山口大学を卒業後、設計デザイン会社・DRAFTを経て、植原亮輔とともに2012年にKIGIを設立した。グラフィックデザインのほか、D-BROSの商品企画、ほぼ日とファッションブランドCACUMA、滋賀県の伝統工芸職人とプロダクトブランドKIKOFを立ち上げるなど、プロダクトやファッションデザインも多く手がける。

 いっぽうでプライベートでも制作を行い、展覧会開催や作品の発表を続けてきた。15年には、東京・白金にショップ&ギャラリー「OUR FAVOURITE SHOP」をオープン。また絵本や作品集を刊行するなど多彩な活躍を見せている。主な受賞歴に、東京ADCグランプリ、D&AD金賞、NY ADC金賞、第19回亀倉雄策賞などがある。

 現在、その渡邉が手がけたヒロシマ・アピールズのポスターが、京都とウィーンの2会場で展示されている。いずれの会場でも、89年発表の第1作から渡邉による2020年版までの全23作品を通覧することができる。この同時開催を記念して、オーストリアと日本のデザイナーによるオンライントークも実施。こちらもあわせてチェックしたい。

松永真による2007年度版ポスター
田中一光による1988年度版ポスター

編集部

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