2020.2.12

鉛筆のようにマウスを使いこなす。ジョナサン・チャプリンのアジア初個展がNANZUKAで開催中

デジタルテクノロジーを駆使する新世代のアーティストのひとりとして注目を集めるジョナサン・チャプリン。そのアジア初個展が、東京・渋谷のNANZUKAで開催されている。会期は3月1日まで。

ジョナサン・チャプリン Performance(Figures and Forms) 2019 (C)Jonathan Chapline, Courtesy of NANZUKA
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 ニューヨークのアーティスト、ジョナサン・チャプリンのアジア初個展が、東京・渋谷のNANZUKAで開催されている。会期は3月1日まで。

 チャプリンは、アメリカで最高ランクの美術大学として位置付けられている名門ロードアイランド・スクール・オブ・ デザインを卒業。2018年には、ニューヨークで初個展「Material Memory」を開催し、デジタルテクノロジーを駆使する新世代のアーティストのひとりとして注目を集めた。

ジョナサン・チャプリン Sculpture Studio 2020 © Jonathan Chapline, Courtesy of NANZUKA

 チャプリンの作品において、「レンダリング」というコンピューター言語は、もはや美術用語として語られる。チャプリンは、物体の形状や物体をとらえる視点、物体表面の質感、光源、シェーディングなど自身の絵画制作に必要なあらゆる物理的要素を、3Dプログラムを駆使したコンピューターの画面上で事前にシュミレート。この先鋭的な制作手法と裏腹に、チャプリンは、セザンヌやピカソ、マティスといったアーティストの作品を研究対象としているという。

 そんなチャプリンは、本展のために10点の新作ペインティングと2点の立体作品を制作。「Hunter Gatherer(=収集家ハンター)」といった展覧会タイトルにも込められているように、展示作品のなかには、レジェの描く足を、ベックマンやガストンの描く身体と組み合わせて表現したものも含まれる。

 絵画を構成する要素として、あらかじめ様々な物をオブジェクト化しているチャプリンにとって、立体作品は絵画の延長線上にあるもの。本展は、2Dと3Dの相互作用を発生させ、物理的な空間を支配しようとする試みでもある。

ジョナサン・チャプリン Still life with Painting 2019 © Jonathan Chapline, Courtesy of NANZUKA