1974年に世界中に多くのファンを持つフィンランドのライフスタイルブランド「マリメッコ」のテキスタイルデザイナーに就任し、32年間で400点を超えるテキスタイルを生み出してきた石本藤雄。フィンランドの豊かな自然や幼少期を過ごした愛媛県砥部町の風景を創作の源として、意欲的に新しい表現を追求する石本は、その後同国の老舗陶器メーカー「アラビア」のアート部門に所属し、77歳を迎えた現在も陶芸家として数多くの作品を発表している。
現在、石本の回顧展「石本藤雄展―マリメッコの花から陶の実へ―」が、東京・表参道のスパイラルガーデンで開催されている。本展は、愛媛県美術館と京都の細見美術館で開催された展覧会に続く、第3弾の展覧会となる。
本展では、石本が過去にデザインを手がけたマリメッコのファブリックの数々を筒状にして展示。テキスタイルの森のなかを歩くかのような空間を楽しむことができる。四季を描いたマリメッコ製のテキスタイル《ケサスタ・ケサアン(kesästä kesään/夏から夏へ)》を背景に、侘び寂びの世界観を表現する最新作の《冬瓜》のインスタレーションにも注目したい。
2019年春には、石本がマリメッコのデザイナーに就任した75年当時、アメリカのハウスウェアブランドのために描きおこしたテキスタイルデザイン《Onni(オンニ/幸せ)》と《Kukkaketo(クッカケト/花畑)》がマリメッコより復刻。今回は、それをプリントしたファブリックを展示するほか、デザインをプリントしたマグカップやプレートなどが販売される。
会期中は、会場に隣接するスパイラルカフェともコラボレーション。石本がデザインを手がけたマリメッコのファブリックが店内を彩り、フィンランド・ヘルシンキにある「カフェ・アアルト」のメニューを味わえる。