別府はいかにして国内屈指の温泉地となったのか? Nerhol(ネルホル)が個展でリサーチベースの新作を発表

飯田竜太と田中義久の2人からなるアーティストデュオ「Nerhol(ネルホル)」の個展「釘がないので」が、東京・六本木のYutaka Kikutake Galleryで開催される。会期は6月8日〜7月13日。

© Nerhol Photo by Shintaro Yamanaka

 「Nerhol(ネルホル)」は、飯田竜太と田中義久の2人からなるアーティストデュオ。それぞれの活動を展開していた2人は、現代においていかにして問題を提起し、人々に伝えていくかという方法論において共通項を見出し、2007年よりNerholとして活動を開始した。

 街路樹、動物、水、あるいはネット空間にアップされた画像データや記録映像といった様々なモチーフを選びながら、一貫して日常生活で見落とされがちな物事が孕む多層的な存在態を解き明かすNerhol。11年以降はおもに、それぞれ異なる角度から対象を撮影した100〜200枚におよぶ写真すべてを束ね、彫刻することによって、歪んだ立体作品を発表している。

© Nerhol Photo by Shintaro Yamanaka

 18年の夏に大分県別府市で開催されたアーティスト・イン・レジデンス「KASHIMA」に参加したNerholは、同地の歴史を綿密にリサーチ。明治初期以降、世界大戦を経て様々な人やモノが往来するなかで、別府が国内屈指の温泉保養地として発展を遂げるまでの過程を知ったという。

 豊かな自然環境のなかでかたちづくられた別府の文化の諸相に触れるとともに、地域民のオーラルヒストリーを集めたNerhol。それをもとにつくられた全13作品は、レジデンス場所でもあった葵荘をはじめ、別府公園や商店の壁などで発表された。

 そんなNerholの新作個展「釘がないので」が、東京・六本木のYutaka Kikutake Galleryで開催される。上記展覧会の東京巡回展という要素も持つ本展では、別府会場では未発表であった作品と、別府でのリサーチの延長線上につくられた新作も見ることができる。

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