「in BEPPU」は、別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」(2009年から計3回開催、15年に完結)の後継企画として16年始動したプロジェクト。毎年、国際的に活動しているアーティストを1組別府に招聘し、地域性を活かしたアートプロジェクトを実現する個展形式の芸術祭だ。
16年の「目」、17年の西野達に続き、18年はすでに発表されているように、『おおいた大茶会』のメイン事業としてイギリスからアニッシュ・カプーアが招聘される。カプーアは15年にヴェルサイユ宮殿で行った個展やロンドンオリンピックの記念モニュメントの制作などに見られるように、大規模な作品を世界中で発表しているアーティスト。日本では金沢21世紀美術館や福岡市美術館に作品が収蔵されている。
そして「in BEPPU」では、カプーアの世界初公開となる新作を含む作品を10点以上展示予定。国内では過去最大規模の展示だ。
まず、世界初公開となる新作パビリオン《Sculptural Void Pavilion(仮称)》は、昨今カプーアが取り組んでいる彫刻と建築が融合した作品。奥行12mほどの空間内部に入ると、正面に暗黒の壁が現れ、時が経つにつれて、不思議な知覚体験を引き起こすというもの。
ほかにも、日本初公開となる代表作《Sky Mirror》が設置される。直径5m、ステンレス製の本作は、光を反射し空を映し続け、あたかもその場所に突然異世界の入り口が広がっているかのような効果を見せる作品だ。
そして特設空間での展覧会「コンセプト・オブ・ハピネス」も見逃せない。前述した2つの大型作品のちょうど中間にギャラリーを設置し、有機的で筆致も荒々しいドローイングや彫刻(全10点を予定)が展示されるほか、イギリスBBCが制作したカプーアのドキュメンタリー映像も上映予定だ。
体感型の巨大なパビリオン作品から、ドローイングや彫刻などの作品まで、全身を使ってカプーアの作品に触れられる絶好の機会となるだろう。