1897年の開館以来、京都の寺社などに伝わる文化財の保管・展示を行ってきた京都国立博物館。これは「寄託」と呼ばれ、文化財を取り巻く状況が変化したいまでも、自然災害などから守るために重要な役割を持つ。
今回、京都でのICOM(国際博物館会議)の開催にあわせ、同館に収蔵される約6200件の寄託品のなかから選りすぐりの名品を紹介する「京博寄託の名宝―美を守り、美を伝える―」が開催される。
本展では、寄託品の数々を陶磁、考古、肖像画、仏画、中世絵画、近世絵画、彫刻、中国絵画、染色、金工、漆工に分類して展示。なかでも注目したいのは《伝源頼朝像》(京都・神護寺)や、俵屋宗達筆《風神雷神図屏風》(京都・建仁寺)。教科書でお馴染みの作品を間近で見る、またとない機会となっている。
加えて、刀剣、蒔絵などの工芸品のほか、平安時代の美術の粋を集めた《釈迦如来像(赤釈迦)》(京都・神護寺)をはじめとする藤原仏画の名品、狩野派400年の繁栄の始まりである正信・元信の作品など、国宝や重要文化財が目白押しだ。
京都の地で受け継がれてきた名宝の数々を、一度に見ることができる贅沢な本展。未来に引き継ぐべき美の境地を、会場で体感してみたい。