2018.8.17

京都国立博物館で過去最大級の刀剣の展覧会「京のかたな」が開催。京博120年の歴史で初となる刀剣の特別展の内容とは?

国宝や重要文化財の刀剣が一堂に会する特別展「京のかたな 匠のわざと雅のこころ」が京都国立博物館で開催される。同展は山城鍛冶の技術系譜と刀剣文化を探る京博の初の試みとなる。会期は2018年9月29日~11月25日。

国宝 太刀 銘則国 京都国立博物館蔵
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 王城の地・京都では、平安時代から現代にいたるまで、多くの刀工が工房を構え、数々の名刀を生み出してきた。これら京都で製作された刀剣は、つねに日本刀最上位の格式を誇り、公家、武家を問わず珍重され、とくに江戸時代以降は武家の表道具として、大名間の贈答品の代表となる。

重要文化財 太刀 銘吉家作 京都国立博物館

 本展は、現存する京都、すなわち山城系の鍛冶の作品のうち、国宝指定作品の17件と、著名刀工の代表作を中心に展示。平安時代から平成にいたる山城鍛冶の技術系譜と、刀剣文化に与えた影響を探りつつ、刀に関わる近世京都の文化も紹介する。

 展覧会は全8章で構成。京の刀の誕生から苦難、復興、展開まで、美しい名品とともに山城鍛冶の物語が語られる。刀工たちの地位向上にかかわった後鳥羽上皇ゆかりの品や、上皇自らの作と伝わる《菊御作》、さらに、公家や武家の肖像画に表されている武装と、それに類似する刀剣を提示することで、当時の習俗を再現する。 

国宝 後鳥羽天皇像 大阪・水無瀬神宮蔵(9月29日〜10月14日展示)

 また、戦乱を描く合戦絵巻の名品や、伊藤若沖筆の《伏見人形図》、千種有功や有栖川宮など、本業の傍ら作刀を行った公家や大名の作品も取り上げ、武家文化だけでなく、公家・町衆を含めた京文化のなかで、刀工たちが果たした役割に迫る。

重要文化財 真如堂縁起 下巻(部分) 京都・真正極楽寺蔵(場面替あり)

 刀剣文化に焦点を当てた京都国立博物館での初の試み。山城鍛冶の歴史的な名品を堪能するとともに、平成まで続く刀剣と京文化の関わりに注目したい。