2019.3.23

北斎から未完の建築まで、今週末に見たい3つの展覧会

3月24日までに終了する展覧会のなかから、とくに注目したい3つをピックアップして紹介。この機会をお見逃しなく。

「新・北斎展」展示風景より、《弘法大師修法図》(1844-47)
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480件の作品でこれまでの北斎像をアップデートする。「新・北斎展」(森アーツセンターギャラリー

展示風景

 世界的に知られる日本人浮世絵師のひとり、葛飾北斎の画業をたどる展覧会「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」が、3月24日に閉幕する。

 本展は、2000件を超える北斎と北斎派のコレクションを所有していた北斎研究の大家・永田生慈(1951〜2018)が、研究の集大成として10年以上温めてきた企画であり、70年に及ぶ北斎の画業を、落款ごとに6章に分けて紹介するというもの。

 絵のスタイルや技法を次々と変え、つねに自分をアップデートしてきた北斎の全貌と、日本初公開作品の数々にも注目したい。

会期:2019年1月17日〜3月24日 ※会期中展示替えあり
会場:森アーツセンターギャラリー
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00〜20:00(火〜17:00) ※入館は閉館30分前まで
休館日:1月29日、2月19日、2月20日、3月5日
料金:一般 1600円 / 高校・大学生 1300円 / 小・中学生 600円

 

注目スポット・那須塩原で初のアートイベント。「アート369フェスティバル」(栃木県那須塩原市「黒磯駅」周辺店舗)

金氏徹平と川島小鳥の展示会場

 個性的なショップが多数集まるエリアとして注目を集めている栃木県那須塩原市の黒磯で開催中のアートイベント「アート369フェスティバル」の会期は9日間。3月24日に閉幕を迎える。

 イベントの参加アーティストは、写真集『未来ちゃん』などで知られる川島小鳥、様々な文脈にある既成のものやイメージを特定のルールによって収集し、コラージュ的手法で構成する金氏徹平、植本一子の著書『かなわない』など、装画も数多く手がける今井麗ほか、後藤武浩、惣田紗希、中島佑太。この6名の作品が、パン屋、花屋、ギャラリーなどに並ぶ。

 様々なショップを巡りながら気軽に作品を鑑賞できるこのイベント。アート観賞とあわせて観光を楽しむのもおすすめだ。

会期:2019年3月16日〜24日
会場:栃木県那須塩原市「黒磯駅」周辺店舗(KANEL BREAD、Iris bread & coffee、カネルブレッドギャラリー(KANEL BREAD工房)、salon Chiune、トナリギャラリー(1988 CAFÉ SHOZOのトナリ)、Dear, Folks & Flowers)
住所:栃木県那須塩原市本町1-1(黒磯駅)

 

建築の「不可能性」とは? 「インポッシブル・アーキテクチャー」(埼玉県立近代美術館

会場風景より、手前は野口直人建築設計事務所によるウラジミール・タトリン《第3インターナショナル記念塔》の模型

 20世紀以降の国内外のアンビルト(=未完)の建築に焦点を当てた展覧会が、埼玉県立近代美術館で3月24日まで開催中だ。同館館長・建畠晢が発案し、東北大学教授・五十嵐太郎が監修を務める本展は、作者の夢や思考がより直接的に表現されるアンビルト建築を「インポッシブル・アーキテクチャー」と称して紹介し、建築が持つ不可能性を見つめると同時に可能性の境界を問おうというもの。

 ウラジミール・タトリン《第3インターナショナル記念塔》(1919-1920)の模型、全長13メートルにおよぶ荒川修作+マドリン・ギンズの《問われているプロセス/天命反転の橋》(1973-1989)の模型、ザハ・ハディドによる新国立競技場のプロジェクトが「実現可能」だったことを示すための模型、設計資料などが並ぶ本展。

 美術館ならではの建築展にぜひ足を運んでみてほしい。

会期:2019年2月2日〜3月24日
会場:埼玉県立近代美術館
住所:埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
電話番号:048-824-0111
開館時間:10:00~17:30 ※展示室への入場は17:00まで
休館日:月
観覧料:一般 1200円 / 高校・大学生 960円 / 中学生以下無料