「冨嶽三十六景」が誕生するまで。太田記念美術館で、富士山を描き続けた北斎の画業をたどる

葛飾北斎の没後170年を記念した展覧会「没後170年記念 北斎 ―富士への道」が、東京・神宮前の太田記念美術館で開催される。本展では、富士山を描き続けた北斎が、70歳を過ぎて「冨嶽三十六景」を生み出すまでの長い道のりに迫る。会期は4月4日~29日(前期)、5月3日~26日(後期)。

葛飾北斎 冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏 1831頃 ※前期展示

 今年は、葛飾北斎(1760~1849)の没後170年にあたる年。これを記念して、北斎が生涯のテーマとした富士山をどのように描き続けたかをたどる展覧会「北斎 ―富士への道」が、太田記念美術館で開催される。

 約70年におよぶ画業のなかで、風景を描き続けた北斎。本展では、70歳を過ぎてからの代表作である「冨嶽三十六景」が誕生するまでの長い道のりをたどるとともに、90歳で亡くなるまでに目指したさらなる境地も紹介する。

葛飾北斎 富嶽百景 二編 夕立の不二 1835 ※後期展示

 「冨嶽三十六景」は、日本各地の様々な場所から見える富士山を描いたシリーズで、北斎が72歳のときに制作を始めたもの。本展には、そのなかから「グレート・ウェーブ」として名高い《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》も登場。迫力ある描写は一朝一夕に得られたものではなく、波の動きを丹念に観察し続けた北斎の努力の賜物だ。

 なお展示される「冨嶽三十六景」の24点は、2020年3月から導入されるパスポートの新デザインに採用されたもの。入出国の際にスタンプを押す査証欄のページに作品が印刷される予定となっており、本展ではその全24点を前・後期に分けて見ることができる。

葛飾北斎 冨嶽三十六景 凱風快晴 1831頃 ※後期展示

 そのほかにも本展では、北斎による約200点の風景画を年代ごとに展示し、表現の変遷を追う。また、そのうち100点には富士山が登場。北斎が趣向を凝らして表現した、様々な富士山の姿を堪能できる内容となっている。

編集部

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