2019.3.5

空間、そして光と影への試み。玉山拓郎と松延総司による2人展「FLASH MATTER」をチェック

ビビッドな色彩の日用品を用いて部屋のようなインスタレーションを展開してきた玉山拓郎と、日常で目にする物体にアプローチを加え、鑑賞者の認識を反転させる作品を制作してきた松延総司による展覧会「FLASH MATTER」が、京都・Gallery PARCで開催中。会期は3月17日まで。

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 京都・Gallery PARCで、玉山拓郎と松延総司による展覧会「FLASH MATTER」が開催されている。

 玉山は1990年生まれ、2015年に東京藝術大学大学院美術研究科を修了。これまで、鮮烈な色彩を持つ家具や照明を部屋のような空間に配置し、色彩のコンポジションを生成するインスタレーションを発表してきた。昨年は2つの個展「Dirty Palace」(CALM&PUNK GALLERY)、「A Night Meal, Slight Fears」(Littele Barrel)を開催した。

玉山拓郎 Dirty Palace 2018 写真=新居上実

 いっぽう松延は1988年生まれ、2008年京都嵯峨芸術大学短期大学部卒業。主な展覧会に「ねじれたライブラリールーム」(熊本市現代美術館、2018)、「Knit the Knot」(HAGIWARA PROJECTS、2016)などがある。松延はこれまで日常で目にする輪ゴムや石、鼻歌、落書きなどのモチーフにアプローチを加え、「線や影」としての要素を顕在化させることで、物の認識を変化させるような作品を手がけてきた。

松延総司 Twisted Rubber Band 2012-

 「光や影を触れることができる立体物として目の前に引きずり出すこと」を試みる2人。本展では、2人の描くドローイングが現実の空間に基づくものでなく、脳内からプロジェクションされた「4次元立体」の設計図と言えるのではないか、という問いをきっかけに展示空間を構成する。

 「入れ子」や「内と外」といった関係性を内包するそれぞれの作品が、入り組んだ状態で展開される本展。様々な視点から展示空間を見ることで、認識やイメージが複雑に瞬くような体験を得ることができるだろう。