大竹伸朗は1955年東京生まれのアーティスト。80年代初頭より国内外で作品発表をスタートし、2013年には高松市美術館と丸亀市猪熊源一郎現代美術館で個展を開催したほか、瀬戸内国際芸術祭では《女根/めこん》(2013、女木島)、《針工場》(2016、豊島)を発表した。
また近年では、第8回光州ビエンナーレ(2010、韓国)、ドクメンタ13(2012、ドイツ)、第55回ヴェネチア・ビエンナーレ(2013、イタリア)などの国際展にも参加。精力的に活動を行っている。
そして今回、個展「大竹伸朗 ビル景 1978-2019」が熊本市現代美術館で開催される。大竹はアーティストとしてデビューして以降、絵画を中心に、印刷や音、写真、映像といった多彩な表現を展開し、現代美術の世界だけでなく、文学やデザインなど幅広いジャンルに影響を与えてきた。
本展では、大竹が現在までの約40年間にわたって制作し続けてきた「ビル景」シリーズに焦点を当てて展開される。同シリーズは、現実の風景をそのまま描いたものではなく、大竹の中に記憶された香港やロンドン、東京といった様々な都市の湿度、熱、騒音、匂いなどがランダムにミックスされ、「ビル」という形状を伴って描き出される仮想風景。
この「ビル景」シリーズ全作品を網羅した作品集の発行とあわせて、本展では、多数の未発表作品から最新作まで800点以上を調査し、可能な限り展示することで「ビル景」シリーズの全貌を明らかにする。