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夏休みは美術館へ!
「坊っちゃん」から80年代の美術まで、
注目の展覧会をピックアップ
【西日本編】

夏休みはアウトドアや芸術祭だけではなく、涼しい美術館へ展覧会を見に行くのも楽しみのひとつ。日本各地で開催されている展覧会のなかから、編集部が注目する展覧会を地域ごとに5つずつピックアップ! 第3弾は西日本編。

浅田政志 「坊っちゃんアイ2018」より 2018 ©Masashi Asada

80年代の日本の美術を見つめ直す 「起点としての80年代」 (金沢21世紀美術館)

大竹伸朗 家系図 1986-88 セゾン現代美術館蔵

 金沢21世紀美術館では、日本のアートシーンの起点を「80年代」に設定し、同時代を再検証する展覧会が開催されている。参加作家には大竹伸朗、岡崎乾二郎、川俣正、中村一美、宮島達男、森村泰昌、横尾忠則といった顔ぶれが並ぶ。

 いまから約30年前の80年代は、今日の美術において重要なインスタレーションという形式や、作品制作への参加や社会との関係への意識、オルタナティブ・スペース、 メディア・アート、「美術」という制度を相対化する視点など、日常性や軽やかさを大切にする感性が新たに生まれた時代だった。

 国内外で再評価される「具体」や「もの派」といった70年代美術、オタク文化などに代表されるサブカルチャーに影響を受けた90年代美術。本展ではその間に位置し、参照されることが多いとは言えなかった80年代美術を改めて見直す機会となる。 

丨起点としての80年代

会期:2018年7月7日〜10月21日
会場:金沢21世紀美術館
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
電話番号:076-220-2800
開館時間:10:00〜18:00(金土〜20:00)
休館日:月(8月13日、9月17日、9月24日、10月8日は開館)、9月18日、9月25日、10月9日
料金:一般 1000円 / 大学生 800円 / 小中高生 400円 / 65歳以上 800円

 

20年の歴史に幕。珠玉のコレクションを楽しむ 「ハピネス~明日の幸せを求めて」 (名古屋ボストン美術館)

ジム・ダイン ザ・ワールド(アン・ウォルドマンのために) 1971-72
Promised gift of the artist, L-G 163.49.2006 Photographs © Museum of Fine Arts, Boston

 アメリカ・ボストン美術館のコレクションを日本にいながらにして鑑賞できる姉妹館・名古屋ボストン美術館が、2018年10月8日をもって20年の歴史に幕を閉じる。同館最後の展覧会が「ハピネス~明日の幸せを求めて」展だ。

 「幸せ」について考えるために、「愛」「自然」「願い」「平和」「夢」「アート」の6つのキーワードを設け、それらにそって同館が誇る世界中の様々な作品を紹介する本展。曾我蕭白からジム・ダインまで幅広い作品を楽しむことができる。

 これまで同館に親しんできた人も、初めて訪れるという人も楽しむことができる展覧会だ。

丨名古屋ボストン美術館 最終展「ハピネス~明日の幸せを求めて」

会期:2018年7月24日~10月8日
会場:名古屋ボストン美術館
住所:名古屋市中区金山町1-1-1
電話番号:052-684-0101
開館時間:10:00~19:00(土日祝 ~17:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(祝休日の場合はその翌日、ただし8月13日は開館)
料金:一般 1300円 / 高校・大学生 900円 / 中学生以下無料

 

開館30周年。4人の作家たちがつなげる美術 「つながりかえる夏」 (高松市美術館)

下道基行 シリーズ「津波石」より 2015-

 高松市美術館が年に一度開催しているグループ展「高松コンテンポラリーアート・アニュアル」は2009年よりスタート。8回目となる今回のテーマは「つながりかえる夏」だ。参加作家は下道基行、山城大督、藤浩志、千葉尚実の4名。

 同館は今年で開館30周年を迎える。そこで、今一度「開かれた美術館」を意識し、幅広い層の世代が館を訪れるように、4人の作家による複数の回路で美術(館)を多方面に「つなげ」「ひらき」「ふりかえり」たいと企画された展覧会だ。

 同館の取り組みを振り返るとともに、4人の作家たちによる表現を楽しみたい。 

丨高松市美術館開館30周年記念  丨高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.07  丨つながりかえる夏

会期:2018年7月27日〜9月2日
会場:高松市美術館住所:香川県高松市紺屋町10-4
電話番号:087-823-1711
開館時間:9:30〜19:00(日〜17:00、7月27日のみ10:15〜)
料金:一般 800円 / 大学生 500円 / 高校生以下無料
休館日:月

 

夏目漱石の不朽の名作を再解釈 「坊っちゃん展―祖父江慎・梅佳代・浅田政志・三沢敦彦」 (愛媛県美術館)

梅佳代 坊っちゃんたち 2017 ©Kayo Ume

 夏目漱石が通っていたことから「坊っちゃん湯」として親しまれている愛媛県・松山市の道後温泉本館にて、アートフェスティバル「道後オンセナート 2018」が2019年2月28日まで開催中だ。

 愛媛県美術館では、同フェスティバルにも参加している祖父江慎、梅佳代、浅田政志、三沢厚彦の4名の作家が、夏目漱石の小説『坊っちゃん』をテーマにした作品を発表する展覧会が開催されている。

 本展のアート・ディレクションは祖父江が担当。「道後オンセナート2018」とあわせて、ここでしか見られない作品を楽しみたい。

丨「坊っちゃん展―祖父江慎・梅佳代・浅田政志・三沢敦彦」

会期:2018年6月30日~9月2日
会場:愛媛県美術館
住所: 愛媛県松山市堀之内
電話番号:089-932-0010
開館時間:9:40~18:00  ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日 ※7/2、7/16、8/6は開館し、翌火曜休館
料金:一般 1200円 / 高校・大学生 900円 / 小・中学生 500円

 

ふたつの美術館がコレクションを交換 「越境するミュージアム」 (S-HOUSEミュージアム、クシノテラス)

篠原有司男 オートバイに乗った牛ちゃん

 岡山県岡山市の「S-HOUSEミュージアム」と、広島県福山市の「クシノテラス」というふたつの美術館が協働する展覧会「越境するミュージアム」が開催中だ。それぞれのコレクションを交換しあう本展では、S-HOUSEミュージアム所蔵のアンディ・ウォーホルから篠原有司男、Chim↑Pomなどの作品がクシノテラスで展示され、逆にS-HOUSEミュージアムでは長恵の作品を見ることができる。

 2016年春に開館した「S-HOUSEミュージアム」は、建築家ユニット・SANAAが初めて設計した木造個人住宅を改装した私設美術館。同時代を生きる美術家の支援を続けている。

 いっぽうのクシノテラスは、美術の「周縁」の表現に目を向けており、いまだ評価の定まっていない市井の人たちの表現を数多く紹介している。

 この一見対局にある二館の合同展覧会。「枠組み」や「境界線」などの既存の価値観や先入観を解きほぐす試みを目撃したい。

丨S-HOUSEミュージアム×クシノテラス合同企画展 丨「越境するミュージアム」

会期:2018年7月14日〜12月16日(会期中の土日祝のみ)
会場:クシノテラス
住所:広島県福山市花園町2-5-20
電話番号:090-2094-2652
開館時間:13:00〜18:00
料金:1000円 

会期:2018年8月4日〜12月16日(会期中の土日祝のみ) ※月曜日は祝日に限り開館
会場:S-HOUSEミュージアム
住所:岡山県岡山市南区浦安南町445-8
電話番号:090-7374-1096
開館時間:10:00〜18:00
料金:投げ銭制

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