「誰か」のポートレートを通して、もう一度自意識と向き合う。川島秀明が小山登美夫ギャラリーで新作を発表

一貫して「顔」を描き、そこに現れる繊細で複雑な感情を追いつづけてきた川島秀明。その個展「Youth」が、東京・六本木の小山登美夫ギャラリーで開催される。会期は11月24日〜12月22日。

川島秀明 Youth 2018 acrylic on canvas 140.5 x 150.1 cm ©Hideaki Kawashima

 川島秀明は1969年愛知県生まれ。91年に東京造形大学を卒業後、95年から比叡山延暦寺での仏道修行などを経て、2001年に制作活動を始めた。

 主な展覧会に「come out」(8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery、2014)、「Back and Forth」(Richard Heller Gallery、アメリカ、2014)、「ライフ」(水戸芸術館、2006年)、「アイドル!」(横浜美術館、2006年)などがある。

川島秀明 Midori 2017 acrylic on canvas 65.4 x 53.0 cm ©Hideaki Kawashima

 性別や年齢のわからない「顔」が空中に浮かび漂う独特な絵画を手がけ、国内外で高い評価を得てきた川島。しかし2010年頃から、それぞれ髪型や服装が異なる、明らかに「人物」としてのポートレートを描き始める。

 そんな変遷を経て開催される本展「Youth」。今回の新作には、はじめて画面に複数の人が登場し、背景を描くことにも挑戦している。川島は展覧会によせて「一人だけの場合、描いている自分にとっては一人称の世界で、見る人にとっては二人称の世界。二人三人と複数になると、これは三人称の世界で、少し客観的な視点が入って来る気がして、今後また少し違った作品が描けるような予感がしています」とコメント。

川島秀明 Cyclamen 2018 acrylic on canvas 72.8 x 90.9 cm ©Hideaki Kawashima

 自意識、自己の内面との向き合い方に苦悩し続けてきた川島。もう一度客観的な視点から自分を見つめることで広がる、新たな作品の展開に期待が高まる。

編集部

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