2018.8.30

樹を見上げ、描き続けるアーティスト。日高理恵子の個展が都内2会場で同時開催

1980年代より一貫して「樹と空と」を描き続ける画家・日高理恵子。これまでの活動を振り返る集大成的作品集『日高理恵子作品集1979-2017』の発行を記念し、東京・六本木の小山登美夫ギャラリー、東京・銀座の森岡書店の2会場で個展「見ること─ 作品集1979-2017より」が開催される。会期は9月8日〜10月6日(小山登美夫ギャラリー)、9月25日〜30日(森岡書店)。

日高理恵子 樹 1983 © Rieko Hidaka Courtesy of Tomio Koyama Gallery
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 35年にわたり「樹」をモチーフに絵画を描き続ける画家・日高理恵子。入念な観察とデッサンに基づく作品群は、樹が持つ無数の枝、葉、幹、花芽の存在感とともに、樹に包まれているような感覚、枝の先が空に向かって伸びていく空間的・時間的な視野の広がりを感じさせる。

 その集大成的作品集『日高理恵子作品集1979ー2017』の刊行を記念して、小山登美夫ギャラリーと森岡書店の2会場にて個展が開催される。

日高理恵子 空との距離XIII 2017 © Rieko Hidaka Courtesy of Tomio Koyama Gallery

 日高理恵子は1958年東京都生まれ。1995年から96年まで文化庁芸術家在外研修員としてドイツに滞在。これまで、国立国際美術館(大阪、1998年)、アートカイトミュージアム(デットモルト、ドイツ、2003年)など国内外で個展を開催し、日本画の画材を用いた作品をとおして、現代美術のフィールドで活躍してきた。

 2017年発売の『日高理恵子作品集1979-2017』は、2017年のヴァンジ彫刻庭園美術館の個展での展示作品をはじめ、70年代後半に作家が惹かれ、模写した過去の画家たちの習作や素描、水平の視点で描かれた樹々、その後展開する「樹を見上げて」「樹の空間から」「空との距離」シリーズを含む、約100点の図版を収録した初作品集となる。

日高理恵子 空との距離XIV 2017 © Rieko Hidaka Courtesy of Tomio Koyama Gallery

 作品集出版にあわせ、このたび都内2ヶ所で開催される日高の個展。まず小山登美夫ギャラリーのスペースは、80年代前半の初期作品や2017年の「空との距離」シリーズ最新作などで構成。

 そして「1冊の本」をコンセプトに運営される森岡書店では、版画「樹の空間から」シリーズ、および作品集『日高理恵子作品集1979-2017』そのものを展示する。

 作品集収録作品のなかから作家自身が作品を選定し、展示する本展。日高が「樹と空と」に向けてきた眼差しを追いたい。